民主党の巨額財政政策で知っておくべき9項目(ヘリテージ財団の記事)
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ヘリテージ財団は2021年8月5日に、ここ最近のアメリカの巨額財政政策に関する記事を発表した。内容としては、巨額財政が左翼を利するものとなっており、項目の見直しや規律ある財政などを提言するものである。今後の世界経済への影響を考えるうえで参考になることから、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(9 Things to Know About Senate’s $1.1 Trillion Infrastructure Bill)
https://www.heritage.org/budget-and-spending/commentary/9-things-know-about-senates-11-trillion-infrastructure-bill
1.本記事の内容について
・8月2日月曜日に、上院で1.1兆ドルのインフラ整備予算案が提示されたが、この2702ページにも及ぶ予算案の採決まで数日しかない状況である。ヘリテージ財団による検証の結果、多くの欠陥が発見されたことから、両院は採決の前に一時停止するべきである。その他、民主党政権になってから過度な財政政策がとられており、注意喚起が必要な状況である。具体的な項目としては、以下の通り。
① 数千億ドルの国家負債増加
2020年初頭から5.2兆ドルの国家負債が増加しており、インフレ懸念が発生している。一定程度の規律ある財政ではなく放漫財政になっている。常態的に赤字となっていた高速道路信託基金の救済はその最たるものであり、1200億ドルもの借金を肩代わりしている。
② 大量の無駄遣い
過去の使い古した財政支出項目が大量に含まれている。石油備蓄からの石油販売、金利の安定などは、その最たる例である。金利の安定は「年金調整」とも呼ばれているが、これは企業の厚生年金の負担を下げ、法人税の収益を上げることを目的としているが、30億ドルの税収増に対し、90億ドルの年金削減になる。
更に暗号通貨のキャピタルゲイン課税も含まれているが、議会の見込み税収が280億ドルとなっているものの、実際の資産価値は2憶5000万ドルしかない。
③ 左翼への3.5兆ドル支出
今回の1.1兆円インフラ予算に付随する3.5兆円予算案は、史上最大級のものであ
る。しかしその内容は支離滅裂であり、不法移民を支援しつつ、景気回復に不可欠な投資に増税すると言うものであり、左翼の利権を利するものである。
④ 利益の上がらない公共交通機関への大量支出
アメリカでは鉄道やバスは交通の一部しか占めていないが、大量の予算が割り当てられている。また、高速道路への投資についても無駄が多い。毎年度200万ドルをかけてハチが生息できるような環境を整備し、5000万ドルをかけて雑草を除去し、非組合員の店舗が、労働組合員の店舗よりも不利になるような義務を課すなどしている。
⑤ 運輸省に気候変動対策を埋め込む
車両などの代替燃料、電気自動車への補助金、電気スタンド、気候変動対策インフラ整備のコスト負担、気候変動対策の職員育成、植樹まで補助金を認めている。これらは本来、地域の住民や利用者が負担するべきものであり、一部は既存の取り組みを模倣しただけのものである。
最も重要な項目は、二酸化炭素排出削減を州政府に求めていることである。ただ、排出削減計画は4年に1度更新することとされているが、具体的な削減目標や環境上の利益が明示されていない。これは完了による自由裁量の余地を広げることになり、ただコストが増大するのみで、何らの利益ももたらされないだろう。
⑥ エネルギー企業の福利厚生
エネルギー省に大量の予算が投入されており、新しい企業や技術がエネルギー市場に参入する際の障壁となるような、政府の規制及びイノベーションが定義されている。本来競争により顧客の利益がもたらされるのであるが、一部のエネルギーを優遇することで、縁故主義が蔓延し、高コストになっていくことが見込まれる。
ただ良い部分もあり、キーストーンパイプライン停止に伴う失業やエネルギー価格の上昇、電気自動車の環境負荷、中国の電気自動車の労働市場への影響を報告するよう求めている。
⑦ ブロードバンドインターネットへの社会的正義の適用
650億ドルの予算のうち、420億ドルがブロードバンドインターネットのインフラ整備及び関連事業に割かれている。しかし政府やNPOの整備が優先されており、民業を圧迫する内容となっている。
更にジェンダーアイデンティティや囚人のインターネット利用等の項目も含まれており、27.5億ドルもの予算が配分されている。
⑧ 無駄な保護主義的義務
バイデン政権は政府調達の要件強化を推進しており、7月にはアメリカ製品の構成物が、75%以上アメリカで生産されたものを使用するよう提案している。
インフラ法案は、国内企業が受注する場合、入札価格を25%増まで認めており、納税者の負担が増加することが見込まれる。国内の雇用が創出されると言うことで正当化する識者もいるが、実際には目標を達成することはできないだろう。
⑨ お役所仕事の助長
トランプ政権は大統領令により、各省庁の業務効率化や期限設定などで大幅にお役所仕事を削減してきたが、バイデン政権により停止されてしまった。かつては環境アセスメントに平均6.6年を要し、報告書も670ページにも及ぶものとなっていたが、トランプ政権下では、2.2年、200ページにまで削減された。環境政策に関しては先導する省庁が決定しておらず、各省庁が個別に推進する体制になっており、政策決定が大幅に遅れることが見込まれる。
2.本記事読後の感想
今回の記事は、アメリカも利権まみれということが良く分かる内容となっている。日本もそうであるが、一部の人々が税金や保険金などを独占し、一般国民の利益がないという点においてはどこも同じなのだろう。民主主義の最大の欠陥は、自分に犠牲を強いる決断がしにくいことだ。誰かの利権に手を出そうとすると必ず反発を受け、結果として票が減るということになる。現在の政策においても誰のためなのか疑問の付くものが大量にあるのは、これが理由である。大小さまざまな利害関係者が政治家に働きかけて実現しているものが多く、これは選挙に貢献できる団体にしかできない芸当である。
政治家はこのような団体に弱く、一般の国民のために何かをしようとするインセンティブが働かないのも当然である。こういう状況を打破したければ、投票率を上げ、与党以外の政治家に票が回るようにしていくしかない。ただ、単純に政党で判断してはならない。あくまでも政治家個人を選択することが重要である。与党で素晴らしい政治家もいれば、駄目な政治家もいる。与党が駄目だからと言っても、現在の野党の政治家には重責を担う力量のある人はほとんどいない。
日本の不幸は、投票したい人がなかなかいないということだろう。どうしても入れたい人がいなければ白票でもいいので投じることが重要だ。今回の総選挙での投票率は、日本人の賢明さの指標になる。投票率が大幅に上昇することを望みたいものである。
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