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NATOの気候変動への注力とロシア(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Evgeni TcherkasskiによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/evgenit-4930349/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2259724

 ヘリテージ財団は2021年8月13日に、NATOの会合で採択された気候変動対策に関する記事を発表した。内容は、NATOが気候変動対策に取り組むことにより、ロシアへの対応がおろそかになるとして批判するものである。左翼の環境政策が外交・安全保障に及ぼす影響が良く分かる実例であることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Biden Wants NATO To Focus on Climate Change. What About Russia?)
https://www.heritage.org/global-politics/commentary/biden-wants-nato-focus-climate-change-what-about-russia

1.本記事の内容について
・6月に実施されたNATOサミットにおいて気候変動対策への取り組みが重要課題として採択された。メディアではこれを大きな成果であると報道しているが、実際には重要な安全保障問題への取り組みがおろそかになり、NATOの役割が果たせなくなる可能性がある。
・NATOは加盟国の脅威について、長年格闘してきており、全ての脅威が等しく重要なものとして取り扱ってきた。しかしこのような運用では取り扱う範囲が拡大しすぎており、優先順位付けをしなくてはならない時期に来ている。
・NATOは、ロシアへの脅威への対処と言う原則に立ち返るべきである。NATOは世界中で展開しているわけではないことから、地政学的にロシアへの対処に注力するべきであり、防空圏、サイバー防衛、エネルギー政策、諜報活動、プロパガンダなどの脅威に対処することが重要である。
・無論、北アフリカからの移民や中国の台頭も脅威ではあるが二次的なものであり、NATOの役割は限定的なものとなる。しかしながら、今回のサミットでは地域の問題ですらない気候変動対策が、安全保障上の脅威であるとして最優先事項にされてしまった。気候変動と安全保障への影響評価を毎年度実施することとなり、軍のエネルギー需要及び消費量についてのデータの投資への活用、エネルギー効率化技術や持続可能技術の重要性の強調などが提唱されている。
 更にサミットの共同声明では、温室効果ガス排出削減目標を設定し、2050年までに実質排出ゼロを達成する可能性について評価するとしている。
・最大の脅威は、集団的自衛権の機能不全であると言える。旧型よりもエネルギーを消費する第五世代航空戦闘機などを調達することができなくなるなど、戦力の低下が予想される。その他、即応性、共同訓練の計画などにも影響が出る。加盟国は国防費の捻出に苦慮しており、この貴重な資源を気候変動に割く余裕はなく、アメリカも同様である。NATOは気候変動対策か軍事かの二択が迫られている。
2.本記事読後の感想
  アメリカの極左は地球温暖化が安全保障上の脅威だとしているが、普通の人は理解できない論理である。しかし、実際に影響を与え始めている現状を見ると、世界がおかしくなってきているということなのだろう。
  温暖化は確かに住環境や農業に影響を与える。しかし災害や顕著な気象現象に関しては統計的に有意な変化は見られておらず、左翼の煽り文句は全くもって科学的ではない。
  先日IPCCの第6次報告書が発表されたが、こちらでも顕著現象を地球温暖化によるものと捉えられるかのように表現されており、科学はもはや政治の道具に成り下がっているようだ。
  日本ができることは欧米の失政に追随せず、独自の路線を歩むことである。気候変動目標を欧米に遵守させつつ、日本はのらりくらりとかわし、環境ビジネスの市場は取りに行くというしたたかさが必要である。この点では、中国に学ぶところが大きいだろう。二酸化炭素排出削減に全く取り組んでいないが、太陽電池パネルや風力発電で支配的なシェアを有しており、今後もなかなかこの状況が変化することはないと見込まれる。日本政府は相手の狂気に付き合わず、冷静に政策を推進していただきたい。

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