ワクチン義務化差し止め訴訟判決について(ヘリテージ財団の記事)
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2022年1月14日にヘリテージ財団は、現在最高裁にて審議中の2件のワクチン義務化差し止め訴訟の判決に関する記事を発表した。内容は、口頭弁論が実施されたことに伴い、最高裁判事の質疑や今後の展開を提示するものである。今回は、1月11日に投稿した「ワクチン義務化差し止め訴訟の行方について(ヘリテージ財団の記事)」の続報として、その概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Unpacking Supreme Court Justices’ Reasoning in Vaccine Mandate Decisions)
https://www.heritage.org/courts/commentary/unpacking-supreme-court-justices-reasoning-vaccine-mandate-decisions
1.本記事の内容について
・最高裁で2件のワクチン義務化差し止め訴訟の判決が下された。独立行政法人全国連盟(NFIB) 対 米国労働安全衛生局(OSHA)の訴訟については、6対3でOSHAが勝訴し、ワクチン義務化もしくは毎週の検査及びマスク着用義務化政策の執行が延期されることになった。無署名の意見書において、過半数の判事はOSHAがワクチン義務化権限を付与されているという議論で、政府が勝訴することはないと結論付け、法律はOSHAのワクチン義務化措置を正当化するものではないとした。
・OSHAは職場の安全は健康についてのみ権限を有し、安全基準の策定の権限は付与されているものの、公衆衛生の権限までは有しておらず、OSHAの権限を超越しているとした。また、COVID-19は「職場災害」ではなく、誰もが直面している普遍的なリスクとして分類した。3名の判事は労働安全衛生法は、ワクチン義務化の権限を付与していないとし、3名の判事はOCVID-19の危険性を重視して、OSHAが労働環境維持の目的でワクチン義務化措置が可能であるとしている。
・ミズーリ州他 対 バイデン大統領の訴訟では、5対4で連邦予算により運営されている医療従事者に限り、ワクチン義務化が維持されることになった。パンデミックは付与された権限の行使に影響を与えないとし、連邦予算により運営されている医療機関については、保健長官が個人と健康の安全性の観点から必要と認める場合にワクチン義務化措置が可能であるとした。更に医療機関がCOVID-19に感染する危険性がある状態になってはならないと強調し、ワクチン義務化は恣意的かつ場当たり的なものとは言えず、行政手続法による周知とパブリックコメント手続きを待っていては、パンデミックに有効に対処し得ないとした。
・3名の判事は反対意見を述べ、法律の条文はワクチン義務化を正当化するものではないとしている。公的保険制度運営センターは、実践的な管理や指示を出す権限を有しているものの、数百万もの医療従事者に望まない医療措置を強制する権限を与えるものではないとしている。
・トーマス判事は、保健社会福祉省が無制限にワクチン義務化政策を推進する権限は極めて脆弱であり、もし議会が省庁に全米を包摂するワクチン義務化を可能とし、連邦と州の権限(ワクチンを強制する警察権を有するのは州政府だけである)の均衡を変更したいのであれば、法律に明記するべきであるとしている。
2.本記事読後の感想
意外と早く判決が下されたという印象である。やはりと言うか、残念ながらワクチン義務化が正当化されてしまった。判事の意見を見てもわかるように、法的な権限がないものの、未曽有のパンデミック対応のためにやむを得ないとしている所が何とも言えず残念である。裁判所の役割はパンデミック対策を考えるのではなく、法的権限を検証することだろう。リベラル派の判事は司法積極主義的であり、選挙で選ばれていないにも関わらず政治家のような振る舞いをしている。これは非常に野蛮かつ不適切であり、こういったことが横行すると司法に対する信頼が失墜することになるだろう。
日本では、法律でワクチン義務化がされているわけではないものの、実質的な強制力が働く場面が多々あるように思う。法律や条例にはなっていないものの、違法行為と見られる事例も多々あることから、こういった動きに対して立ち上がる人々が出てくることを期待したい。
最後に、今回のような記事は、反ワクチン派に都合よく利用されそうで若干嫌な部分もあるのだが、私にとって反ワクチン派は最大の敵である。ワクチンの接種は自己決定権の最たるものであり、他者が口出しするべき問題ではなく、ワクチンの危険性をことさら騒ぎ立て、他者の自己決定権に影響を与えようとする野蛮な反ワクチン派と私の立場は全く異なるということを強調しておきたい。
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