トンガの噴火と今後の気温の見通しについて(CFACTの記事)
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2022年11月18日にCFACTは、トンガの海底火山噴火の気温に対する影響に関する記事を発表した。内容は、世界の海面水温や過去の火山噴火後の事例などについて概観し、火山噴火がもたらす気温への影響を考察するものである。今年は火山の影響で気温が若干低下したと見られているが、今後上昇に転じる可能性が高いと見込まれている。この事実を地球温暖化論者が悪用する可能性があることから、注意喚起として本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Tonga volcano temperature drop starting?)
https://www.cfact.org/2022/11/17/tonga-volcano-temperature-drop-starting/
1.本記事の内容について
・1月15日のトンガの海底火山噴火による、大気には大量の水蒸気が供給され、同時に火山灰が空中に拡散した。水蒸気は気温上昇の要因になるが、火山灰は地球の気温を低下させる要因になる。今回排出された火山灰の量は、1883年のクラカタウ火山噴火以降最大級のものであり、1883年及び1991年のピナツボ火山噴火後と同様に、今回も気温が下がるものと見込まれている。
・しかし、火山の噴火に伴う気温の変化は単純なものではない。90年代には一時的に気温が低下したものの、その後気温は上昇に転じていることを鑑みるに、今回の噴火による気温の低下は一時的なものになると考えるのが妥当である。以下、温暖化の要因について見ていくこととしよう。
・まずはトンガの位置と海流を見て行こう。(図1及び図2)
海底からのエネルギーは、北赤道海流に流れ込むことになる。この結果として、周辺から流入先の海域における海面水温が上昇していることがわかる。(図3~7参照)
・海面水温が高い地域は、ここ30年で拡大している。もし海面水温が高くなり始めた1985年の海面水温が2022年と同程度であった場合、現在の気温と同じぐらいまで上昇することになるだろうか。答えはならないである。(図8参照)
なぜなら大気中の水蒸気量が異なっているためで、1985年以降蓄積された水蒸気量により、現在の気温が実現されているということになる。つまり二酸化炭素濃度ではなく、水蒸気量が温暖化の主たる要因であり、二酸化炭素の温室効果は気温が上昇した結果なのである。(図9参照)
・次に気温の低下を見てみよう。(図10~12参照)
南極の気温が顕著に下がっていることが分かる。夏季に入っているにも関わらず、大きく低下している。これが火山灰によるものかどうかはまだ分からないが、今後の気温の推移を考えるうえでヒントにはなるだろう。
2.本記事読後の感想
大きな火山が噴火した場合、火山灰により日射が阻まれ、気温が低下するという説はそれなりに知られているようではある。ただ日照時間や日射量が顕著に減少したという報道はされておらず、局所的な暑さばかりが着目されがちで、結局のところ火山灰による気温低下の効果はあまり流布していないようである。
しかしこの気温の低下は一時的なものであり、火山噴火により暖められた海水が水蒸気量を増加させ、後の高温を招くということも忘れてはならない。火山の噴火で気温が低下したとぬか喜びしていては、かえって狡猾な地球温暖化論者に火山噴火を地球温暖化の要因として悪用されるだろう。科学的な機構について十分理解していなければ、相手の罠にはまるという典型例であるように思う。今後もこういった記事を参考に、科学リテラシーを普及啓発していきたい。
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