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ロシアの固体燃料ミサイル開発状況(IISSの記事)
写真出展:cagrikaripによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/cagrikarip-22181986/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=8493001
英国国際戦略研究所(IISS)は2024年11月18日に、ロシアの個体燃料ミサイル関係施設の拡張状況に関する記事を発表した。内容は、ロシアが最近になって5つのミサイル開発施設の改修を行っており、衛星画像により。ロシアがミサイルを発射したことで日本のメディアが取り上げているが、冷静に今回の実験で使用されたミサイルの分析をするべきところを、恐怖をあおるような取り上げ方をしており、これこそがロシアの思うつぼなのだが、日本のような貧困な情報空間では実態が見えなくなってしまう。今後の安全保障環境を見通すための参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Russia is expanding its solid-propellant motor-production facilities)
https://www.iiss.org/online-analysis/military-balance/2024/11/russia-is-expanding-its-solid-propellant-motor-production-facilities/
1.本記事の内容について
・MAXARのロシア上空からの衛星画像により、ロシアが固体燃料ミサイルを増産する体制を構築しようとしていることが判明した。ロシアは5つの箇所で作業を進めており、一部はソビエト時代の古い施設を回収しようとしているようである。過去30年間ロシアが特に大きな兵器生産設備を増強してこなかったことを考えると、これは特筆すべき動きだと言える。あるバイデン政権の交換は、このミサイル開発能力拡張事業は、ソビエト時代以降最大級の軍拡出ると評している。
・固体燃料ミサイルは、ロシアの戦略兵器の中心であり、かつ、主たる短距離地上発射型ミサイルである。ロシアはウクライナ戦争で短距離ミサイルを活用しており、イスカンデル-Mトルネード-Sなどの地対地ミサイルが投入されている。それだけでなく、S-300PやS-400Pなどの対対空ミサイルシステム、ICBMに使用されている個体燃料モーター、核抑止の核をなす潜水艦発射弾道ミサイルも組み合わせて使用している。
・ロシアが使用しているミサイルには全て個体燃料が使用されており、これは特定の施設でしか生産することができないものであるが、この施設がどこにあるのかはあまり明確ではない。ビイスク第二施設でどのようなモーターが生産されているか否かは明らかではないが、企業のHPによるとソビエト時代のSLBMやブラヴァーなどの設計に関わっているようである。CIAの公開された機密文書によると、トーポリミサイルの上部モーターケースを生産しているとされる。(写真1参照)
・カーメンスク-シャフチンスキー工場は、2005年にモスクワ条約に基づいて全廃したRT-23Molodetsやトーポリと関係が深い施設である。また、ウラガン、スメルチ、トルネードなどの多連装ロケット砲の生産に携わっているNPOのスプラフもこの施設に関与していると見られている。
(写真2参照)
https://www.iiss.org/globalassets/media-library---content--migration/images-delta/comment/military-balance-blog/2024/11/satellite-imagery-for-russian-solid-propellant-kamensk.png
・公開されたCIAの機密文書によると、モスクワ-ジェルジンスク個体燃料研究開発施設は、トーポリの推進システムの研究開発に関わっている。ロシア側の発表では、トーポリ-M、RS-24 Yars、イスカンデル-M、ブラヴァー、スメルチなどの推進システムに関わっているとしており、工場長は2023年ロシア連邦労働者表彰を受賞している。(写真3参照)
https://www.iiss.org/globalassets/media-library---content--migration/images-delta/comment/military-balance-blog/2024/11/satellite-imagery-for-russian-solid-propellant-moscow.png
・ペルミ個体燃料生産施設は、RT-2PMトーポリの第二段ミサイルのモーター生産に関与していると考えられている。ここ最近の稼働状況はほとんど判明していないが、2016年に会社が発表した謝辞によると、モスクワ熱技術研究所のほぼ全ての生産品に貢献しているとされる。モスクワ熱技術研究所は、ミサイルの個体燃料設計の主担当組織になっている。(写真4参照)
https://www.iiss.org/globalassets/media-library---content--migration/images-delta/comment/military-balance-blog/2024/11/satellite-imagery-for-russian-solid-propellant-perm.png
・シュリッセリブルク個体燃料生産施設は、ペルムと類似の施設であり、イスカンデルやトーポリ-Mのモーター生産に関与していると考えられる。ロシア側の発表やCIAの公開機密文書で個体燃料やモーターが生産されていることが判明しているが、ここ最近の改修の目的は不明である。(写真5参照)
・今回のロシアによるミサイル開発施設の改修目的は、判然としない。また生産に必要となる化学物質の生産能力強化についても不透明である。ミサイル生産に必須となる酸化剤である過塩素酸アンモニウムイランの生産能力を増強すると発表したが、衛星画像では特段の動きが見られない。いずれにしてもイランや北朝鮮から短距離弾道ミサイルを輸入していることからもわかる通り、ロシアの国産ミサイル生産能力に不足が生じていることは明らかである。当面はウクライナ戦争に備えたものであるが、長期的にはNATOへ対抗するための能力を強化するということになるだろう。
2.本記事についての感想
今回ロシアが中距離弾道ミサイルを発射したことでマスコミは騒いでいるが、有益な情報がほとんど出てきていないのは何とも残念である。ほとんどの報道は内容が薄く恐怖を扇動するものばかりであり、冷静な分析などほぼ皆無である。先日の兵庫県知事選でも明らかになったとおり、やはり日本の既存メディアを中心とした情報空間は先進国最低レベルであり、テレビ・新聞・週刊誌で情報を収集する日本人の劣等性が明らかになったと言えるだろう。
こんな時に政権が盤石ならいいのだが、石破政権の体たらくにはあきれてものが言えないという状況であり、補正予算や令和7年度予算すらまともに可決させられないだろう。いずれにしても少数与党の政権は短命であることから、政権に期待するのではなく、黒海で政策ごとに是々非々の議論がなされ、望ましい法案が成立することを期待するしかないだろう。
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