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北朝鮮の戦術核攻撃潜水艦(CSISの記事)

写真出展:Michel van der VegtによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/michel_van_der_vegt-949737/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2439277

 CSISは2023年9月11日に、北朝鮮の戦術核攻撃潜水艦の衛星画像分析に関する記事を発表した。内容は、令和5年9月6日の衛星画像を中心として、戦術核攻撃潜水艦の現状について分析するものである。ロシアと北朝鮮の軍事協力が進展するに伴い、ミサイル開発の脅威が高まっているが、他の分野についても見逃すことはできない。今後の安全保障問題を考える上での参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(A Renewed Axis: Growing Military Cooperation Between North Korea and Russia)https://beyondparallel.csis.org/north-korea-launches-new-ballistic-missile-submarine/

1.記事の内容について
 ・9月6日、北朝鮮は戦術核攻撃潜水艦「英雄 金君玉」の進水式を挙行した。この度お披露目された潜水艦は、何年にもわたって新浦南造船所にて建造されてきたものである。
 https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_08-1536x864.png
(画像1 2023年9月6日午前11:20現在の新浦南造船所衛星画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

 衛星画像によると、潜水艦は造船工場の南側にあるふ頭に停泊しており、周囲には進水式の準備をしている人間が見える。潜水艦が停泊している場所は、普段は乾ドックが停泊しているが、この日は進水式のため南西側に移動されている。また北側に停泊している潜水砲台や潜入母艦も、漁船用のマリーナに停泊している。その他、潜水艦をけん引する3隻の船が確認されている。

 https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/2023-09-06-Hero-KKO-Launch-Ceremony_32.jpeg
(画像2 2023年9月6日 戦術核攻撃潜水艦「英雄 金君玉」進水式画像(KCNA提供))

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_01-2048x1152.png           (画像3 2023年9月6日 新浦南造船所画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

https://i1.wp.com/beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_02.png?ssl=1                      (画像4 2023年9月6日 進水式前後の新浦南造船所画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

9月6日 11:20ごろの画像を見ると、進水式が順調に進んでいることがわかる。
https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_07-2048x1152.png           (画像5 2023年9月6日 11:20ごろの新浦南造船所画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_08-2048x1152.png           (画像6 2023年9月6日 11:20ごろの新浦南造船所拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

進水式終了後、潜水艦は元のふ頭に戻され、翌日9月7日、金正恩が試運転準備中の潜水艦の視察に訪れた。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_04-2048x1152.png           (画像7 2023年9月7日 11:20ごろの画像(KCNA提供))

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Slide-09.png(画像8 2023年9月7日 新浦南造船所拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

9月8日の衛星画像によると、ミサイル発射砲台が潜水艦に隣接して停泊している。移動の理由は不明であるが、近い将来ミサイル発射実験が行われる可能性を示唆している。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_09-2048x1152.png           (画像9 2023年9月8日 新浦南造船所拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))

北朝鮮の発表によると、戦術核攻撃潜水艦「英雄 金君玉」は原子力潜水艦とされているが、実際にはディーゼルエンジンの潜水艦である。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Picture2.png(画像10 2019年7月23日 戦術核攻撃潜水艦「英雄 金君玉」建造状況視察(KCNA提供))

 結論を下すのは時期尚早であるが、潜水艦の全長は過去のものよりも長くなっており、かなりの改修が施されていると考えられる。船尾の突起やミサイル発射口など、各種ミサイルを配備している可能性がある。その他、少ない艦員で運用可能となっていると見るべきだろう。

https://beyondparallel.csis.org/wp-content/uploads/2023/09/Sinpo-South-Shipyard-20230906-20230907_10-2048x1152.png           (画像11 2023年9月6日 新浦南造船所拡大画像(KCNA提供))

北朝鮮の次なる目標は、潜水艦のミサイル発射実験だろう。歩みは遅いものの潜水艦の能力は確実に向上しており、この動きはロシアとの軍事協力で加速すると見るべきだろう。

2.記事読後の感想について                       
 例のごとく、CSISはエアバスの画像の転載権を保有していないため、リンクのみの記載となっており、読者の皆様にはご不便をおかけすることをお詫びしたい。
 北朝鮮のミサイルばかりが注目されているが、戦術核攻撃潜水艦も建造するなど、着々と軍事力を強化してきている。ミサイル発射に慣れてしまって、脅威を正しく認識できていなくなっているようなきらいがある。
 日本の安全保障環境は、確実に悪化している。政府は世論を喚起し、防衛費の増額についての正当性を訴え、より良い防衛政策を推進するべきなのだが、つまらない世論に及び腰な岸田政権は、全くもって有効な政策推進能力を示せていない。防衛費の増額を公約しても増税により賄おうとしており、国民の理解や共感を無視している。こんなことでは到底国防を推進することなどできない。

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