北朝鮮の西海衛星発射場の衛星画像情報(CSISの記事)
写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2692779
CSISは2022年7月20日に、北朝鮮の西海衛星発射場の衛星画像分析に関する記事を発表した。内容は、7月3日に得られた衛星画像から、衛星発射場の稼働状況や今後の整備計画を分析するものである。ウクライナ戦争で埋没しないようにするためか、時折ミサイルを発射するなどして注目を集めようとしている北朝鮮であるが、ミサイル開発を着実に進めていることがわかる。北朝鮮があれだけ高頻度にミサイルを発射できるのは、こういった準備行為があるからである。安全保障問題を考える上での参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(New Construction at the Sohae Satellite Launching Station)https://beyondparallel.csis.org/new-construction-at-the-sohae-satellite-launching-station/
1.記事の内容について
・エアバスの新衛星の7月3日の画像によると、西海衛星発射場の開発がここ3か月で進みつつあることが判明した。
(画像1 2022年7月3日現在の倉庫周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像2 2022年7月3日現在の倉庫周辺拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
発射場の北約375mの所にある鉄道倉庫の建設が7月8日ごろから開始された。また基礎や壁の工事が部分的に完成し、建設重機や資材も多数見られることから、将来的に更に建設物が新設される可能性が高い。その他、グリーンハウスや農場も併設されており、倉庫に保存するための農作物を生産することが予想される。
・対して発射場はあまり開発が進んでいないようだ。ただ、メンテナンス作業は行われているようである。
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(画像3 2022年7月3日現在の西海衛星発射場入口・検問所(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像4 2022年7月3日現在の発射ステーション本部及び保安本部周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像5 2022年7月3日現在の屋根付き駅舎画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像6 2022年7月3日現在の水平統合棟画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
・水平統合棟の東側には、VIPハウスと旧管制センターがあるが、この周辺にはあまり大きな変化は見られない。過去3か月において4か所で掘削作業が行われており、7月3日の画像では1か所で作業が進行している。
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(画像7 2022年7月3日現在のVIPハウス及び旧管制センター周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像8 2022年7月3日現在のVIPハウス及び旧管制センター北部周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
(画像9 2020年のVIPハウス周辺における掘削作業及び2022年7月3日現在における3か所の掘削状況画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像10 2022年7月3日現在の西海衛星発射場の鉄道用倉庫(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
・発射台近辺では目立った動きはないが、メンテナンスは行われているようである。
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(画像11 2022年7月3日現在の発射台周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像12 2022年7月3日現在の統合施設、レール付き輸送施設、技術・発射支援棟周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像13 2022年7月3日現在の供給パイプライン塔、燃料及びオキシダイザー貯蔵庫周辺画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
過去4カ月で、龍山垂直エンジン試験場の北部650メートル付近の複合施設が再稼働しているようである。建設車両が砂利を運搬している様子も撮影されている。
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(画像14 2022年7月3日現在の活動を再開した西海衛星発射場の複合支援施設(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
龍山垂直エンジン試験場には、時折トラックなどの車両が入っており、メンテナンスが実施されているようである。
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(画像15 2022年7月3日現在の龍山垂直エンジン試験場の拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像16 2022年7月3日現在の龍山垂直エンジン試験場北部250m周辺の拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像17 2022年7月3日現在のVIP視察棟周辺の拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
・発射台北部440m近辺で、新しい倉庫と複合施設の建設が開始されたようである。少なくとも12棟の建物が建設中であり、砂利などの資材があちこちに見られる。
(画像18 2022年7月3日現在の発射台北部440m近辺の拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
・新しい倉庫と複合施設の西側230m近辺で、居住区が開発されている。ここは1年前まで小さな集落に過ぎなかったが、現在は立ち退きが完了している。発射管制及び追跡監視棟周辺もそれほど開発は進んでいないが、メンテナンスは実施されている。
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(画像19 2022年7月3日現在の複合施設西側の居住区拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像20 2022年7月3日現在の発射管制及び追跡監視棟の拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像21 2022年7月3日現在の発射管制及び追跡監視棟北部のバラック建築物拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
・国家宇宙開発局の管制センター近辺、第二庁舎、ヘリ発着場、家畜施設についても、開発は進んでいないものの、メンテナンスは実施されている。
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(画像22 2022年7月3日現在の国家宇宙開発局及び駐車場地区の画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像23 2022年7月3日現在の管制センター、ヘリ発着場近辺の拡大画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像24 2022年7月3日現在の黄海北道の家畜施設の画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
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(画像25 2022年7月3日現在の黄海北道西側の倉庫群の画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
・金正恩による2022年3月の西海衛星発射場視察報道どおりに作業が進んでいるとすると、最短で1~3年で部分的に完成、10年で完成することになる。完成の暁には、大陸間弾道ミサイルの技術を転用した、高度な衛星を打ち上げることができるようになると見込まれる。
西海衛星発射場近郊にある、東倉郡の制限地区内のチャンヤドン村が再開発されている。これは発射場が拡大した場合に備えるための、ベッドタウンにするためと考えられる。
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(画像26 2022年7月3日現在のチャンヤドンの再開発事業地区の画像(著作権は、2022年Airbus DS 2022))
2.記事読後の感想について CSIS側から衛星画像の許可を得ようとしたが、エアバスの画像については転載権を保有していないとのことで、リンクのみの記載となってしまったことから、読者の皆様にはご不便をおかけすることをお詫びしたい。 北朝鮮のミサイル発射が頻発した昨年7月の衛星発射施設についての情報であるが、衛星発射施設と言うのは名目で、明らかにミサイル発射基地として利用されている。今後、こういった施設で極超音速兵器などの実験が行われるようになる可能性も考慮に入れておくべきだろう。 日本はこういった情報を報道する環境になく、安全保障への関心が高まらないのが残念である。メディアに頼っていると、いつまでもいい情報にアクセスすることはできないことを十分認識するべきである。 どのような状況においても、北朝鮮がおとなしいからと言って、何もしていないわけではない。日本ができることは防衛力を高め、抑止力を増強することである。岸田政権のような、弱腰で物事が定めらない情けない状況を一刻も早く打破していかなくてはならない。
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