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アメリカの対中投資規制を再強化せよ(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Mahathelge Ahmad SupriyantoによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/mahathelge_ahmad-19194147/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=7078280

 ヘリテージ財団は2024年11月26日に、アメリカ財務省が発表した対中投資規制に関する記事を発表した。内容は、アメリカ財務省が発表した対中投資規制の欠陥を指摘し、議会に更なる対応を求めるものである。対中投資規制は第1次トランプ政権のころから強化され、バイデン政権でもある程度引き継がれてきたが、第2次政権になってどのようなものになるのかが注目されている所である。日本の対中政策を考える上での参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Congress Should Strengthen Treasury’s Investment Restrictions for China)
https://www.heritage.org/china/report/congress-should-strengthen-treasurys-investment-restrictions-china

1.本記事の内容について
 ・10月28日に、アメリカ財務省は2023年に発出された対中投資を規制する大統領を実践するため、新たな規制を発表した。この規制は中国軍の近代化やアメリカの技術詐取などの手法を封じるべく作成されたものだが、深刻な欠陥や不作為に満ちたものとなっている。この欠陥を克服するため、議会は対中投資強化に乗り出すべきである。
 ・バイデン政権の大統領令では、半導体・小型電子機器、量子情報技術、AIの3つが指定されており、財務省の規制もどうようとなっている。この部門に該当する会社は、特定国への投資が禁止されており、対外投資については事前通知が必要となっている。例えば軍事、情報収集、諜報活動に利用されうる製品などへの投資が禁止されているが、先端半導体ではない場合は軍民両用であっても通知のみで足りるとしている。
 ・ただこの財務省が発出した規制には、大きな欠点がある。
①    ほとんどのアメリカからの対中投資は対象外となる
アメリカの資本は株式投資などを通じて中国に流れているが、株式や証券購入に関して規制されていない。株式による対中投資は100兆ドルに達しており、直接投資を規制するだけでは不十分である。また一部この規制が免除される企業も存在している。
②    重要部門が全てカバーされていない
バイオテクノロジーは軍事利用される典型的な技術であるが、今回の規制では対象としていない。ただ一方でAIと関係があるバイオテクノロジーのみ規制しており、バイオテクノロジーそのものの精査は不十分な状態のままである。
③    過度に適用範囲が狭い
 レガシーと言われる半導体企業には規制が適用されていない。レイモンド商務長官は中国のレガシー半導体生産能力を過小評価しているが、家電や車両などに広く使用されていることを考慮すると、適用範囲が狭いと言える。
  またAIに関しても軍事や諜報活動に使用されるものに限定されており、規制の効果には大いに疑問が残る。
④    国家への脅威の対応が不十分
 今回の規制は、すでに規制対象となっている組織等を対象とするものが多く、通知義務がある投資がただ単に禁止となるにとどまっている。また中国国内でウイグル人労働者を酷使するなどしている企業への投資が禁じられているわけではなく、人権蹂躙を放置するだけでなく、アメリカへの国家浸透を防ぐこともできない。
・中国はアメリからの投資を機能獲得実験や極超音速装置などに流用していることが明らかとなっており、軍事・科学技術両面においてアメリカに挑戦しようとしている。議会は、対中投資を禁止するべく更なる規制強化に乗り出すべきである。

2.本記事読後の感想
  トランプ氏は大統領に就任していないが、早くも世界に影響を与えている。今回の記事で取り上げられている対中投資の規制もバイデン政権下では中途半端な状態で終わるだろうが、トランプ政権始動後はさらに強化され、関税などの政策と絡めて中国に圧力をかけていく展開になるだろう。
対して日本の体たらくは何とも情けない。トランプ大統領と石破総理との会談のめどが立たないうちに中国にすり寄るような姿勢を見せており、更にアメリカに何の根回しもなく中国との外相会談を持つのは、アメリカへの敵対行為とみなされかねない。何か勝算があってこのような外交をしているのであればよいが、単に自民党内の政治力学に流されているだけなのだろうが。
 岩屋外務大臣のスキャンダルは日本のメディアではほぼ無視されているが、こういった情報が出るのは、アメリカが中国との対立を強めるという意思表示だと思った方がいいだろう。傾向の変化を敏感に感じ取って対応を変化させている国は多く、メキシコやカナダなどの隣国だけでなく、ロシアや中東諸国ですらも来るトランプ政権に備えようとしている。石破政権も少しは見習ってほしいものなのだが、素人内閣のメンバーではできるはずもなしというところか。

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