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中国とインドの石炭獲得競争(CFACTの記事)

写真出展:Анатолий СтафичукによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/stafichukanatoly-3558116/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2023592

 2021年10月12日にCFACTは、中国とインドが石炭獲得に奔走している件に関する記事を発表した。内容は、エネルギー需要の増大に伴い、中国とインドが気候変動対策をいったん取りやめ、オーストラリアの石炭獲得に邁進している状況について解説するものである。エネルギーの不足がどのような事態を招くのかが良く分かる内容であり、近いうちに日本も同様の事態に陥る可能性があることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(A mad rush for coal: China and India suspend climate correctness)
https://www.cfact.org/2021/10/12/a-mad-rush-for-coal-china-and-india-suspend-climate-correctness/

1.本記事の内容について
 ・中国は外交・安全保障上の対立からオーストラリアの石炭輸入を停止していたが、10月の第1週目に一部輸入を解禁した。オーストラリアの貨物船は中国近海に留まっていたが、インドもこの石炭獲得に乗り出してきた。この背景には、中国のかついてないほどの電力不足とインドの石炭不足がある。
 ・中国は一部地域の産業に停電を要請しており、住民には自然光で生活するよう指示している。中国の工場復帰までには、数か月を要すると感がられている。インドの石炭備蓄は残り4日分となっており、全土のブラックアウトが現実味を帯びてきている。中国は一部禁輸解禁に乗り出し、インド企業はおよそ200万トンの宙に浮いたオーストラリアの石炭を購入した。
 ・両国はパリ協定に基づいて太陽光発電事業に数十億ドルを費やしてきたが、このことが遠因となり、電力不足が加速することになった。もしこの資金が化石燃料施設に回されていれば、このような事態は発生し得なかっただろう。また中国は、冬季に禁輸解禁を余儀なくされる前に石炭の消費を抑止してきており、このことも打撃を与えることになった。
 ・中国の国内における石炭発電は60%を占めており、インドも70%と非常に大きくなっている。もしこの事態を回避したければ、石炭発電所を増強する必要がある。太陽光や風力は超過電力を必要な時に供給できないと言う大きな欠点がある。バッテリーは容量が少量にすぎ、バックアップ電源としては有効に機能しない。
 ・今回の教訓は、石炭が非常に入手しやすく、潤沢であり、信頼できるエネルギー源になっているということだ。中国及びインド両国は、気候変動のポリコレに屈することなく、石炭を消費しなければ、アジア地域の30億の国民及び世界のサプライチェーン維持に貢献することはできないだろう。

2.本記事読後の感想
  中国の電力不足はよくニュースになっているが、その実態は明らかではない。中国共産党の縁故によって十分に足りている所もあるとされる一方で、深刻な事態に陥っているとする報道もある。いずれにせよ不足していることには変わりがなく、オーストラリアの石炭輸入を再開せざるを得なくなっているようだ。
  実は報道が出る前からごまかし続けていたとする説が有力であり、第三国経由でオーストラリアの石炭を輸入していたらしく、いつからこのような状態になっていたのかは不透明である。
  インドも心配なところがある。中国に代わるサプライチェーンの要として機能して欲しい所であるが、コロナウィルスの蔓延などによりワクチンや薬品の供給に支障をきたした時期もあることから、世界の安定のためにも信頼できる電力が必要不可欠である。
  日本にとってこのことは対岸の火事ではない。最近ガソリンなどの価格が上昇してきており、WTIなどの指数もここ5年でも最高値を更新しており、メインの発電エネルギーである天然ガスも高騰しつつある。10月からの値上げはかなり早いペースであり、今年の冬場も異常な電気料の高騰に見舞われる可能性が高い。
  ここで重要なのが経済安全保障の考えなのであるが、環境政策に大きな変更が見られそうもなく、原子力発電所も早期には稼働しそうにない。おそらく今回の中国やインドと同じような事態になって初めて必死に対策を考えるということになるだろう。我々にできることは、環境政策よりもエネルギーの安定供給を求める世論を醸成することである。中身のない環境政策の言説に踊らされることなく、今回のようなニュースで知識を吸収し、冷静に将来を見据えていくことが重要である。

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