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中国のチョークポイント技術

写真出展:Pete LinforthによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/thedigitalartist-202249/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=2580300

 2022年5月27日にThe Registerは、中国が発表したチョークポイント技術に関する報告書についての記事を発表した。内容は、中国が自国で調達できない技術を分析し、自己完結的に技術を確立する取り組みを進めている現状について紹介するものである。
ウクライナ戦争で中国の話題が出にくくなっているが、中国は虎視眈々と世界覇権を獲得する動きを見せており、見えない所で着実に国益を確保しようとしていることがわかる。今回は注意喚起の意味を込めて、本記事の概要についてご紹介させていただく。

↓リンク先(Revealed: The semi-secret list of techs Beijing really really wishes it didn't have to import)
https://www.theregister.com/2022/05/27/chinas_semisecret_list_of_techs/

1.本記事の内容について
 ・中国は、チョークポイントとなる重要技術についての報告書を発表した。この報告書は非中国語圏ではほとんど認識されていないが、非常に重要な内容が紹介されている。CSETは2018年7月以降の35の科学技術日報の記事及び本報告書を分析し、中国政府が最も懸念している技術について紹介した報告書を発表している。
 ・列挙されている技術としては、高性能電子機器、特殊合金、高額描画機器、海底ケーブルコネクタ、真空蒸発装置、WindowsのようなOSなどがある。当該報告書において、チョークポイントは、北米、ヨーロッパ、日本などの一部の企業により生産される技術であり、中国国内に代替調達先がないものと定義されている。
 ・また本報告書において、中国企業が自己の利益を追求し、国益を追求していないという問題が指摘されている。これは、一部の企業が中国企業ではなく海外企業から部品を調達しているということである。更に中国の研究開発が低調であり、海外企業の製品に代わるものを生み出せていないという問題も列挙されている。
 ・しかしながら中国は、国内の科学技術確信、技術の盗難、企業買収などにより、海外企業への依存は減少していくという楽観的な見方をしているようである。2020年10月に中国政府は、2035年までに技術で自立するという目標を掲げ、製造2025において、中核的物資の国産比率を2025年までに70%にまで高めることとした。
 ・ただ、この目標への達成の道は遠いようである。5月初旬の市場調査企業のICインサイトの調査によると、中国は2026年にチップの20%程度しか生産できないだろうと予測されている。ある識者は「中国は製造2025のような文書を策定しているが、これは非常に傲慢な内容であり、誤っている。中国は遠大な計画を立案するが、それを達成できなかった場合はまた別の計画を策定するといったことを繰り返している。重要なことは、冷静に自国の立ち位置を認識し、現実的な政策を策定することである。」と述べている。
 
2.本記事読後の感想
  最近はウクライナ戦争の話題が中心であり、中国の問題がほとんど取り上げられなくなっている。時折台湾有事のニュースが出てくるものの、一般的にはあまり大きな関心事にはなっていないようで、中国の行動が見逃されやすい状況となっている。この状況は中国にとって非常に都合がいいものとなっており、こういいた時に利益を確保するべく極端な振る舞いをする可能性もあることから、中国には厳重に注意するべきである。
  さて、今回の記事では中国が自国の弱点を指摘し、いかに克服するのかを示しており、中国が自国の強化を図ろうとしていることがわかる。中国は国産技術を新興するべく様々な取り組みを行っているが、その多くが成功していないことはよく知られているものの、全てが失敗しているわけではなく、徐々に技術を獲得しつつある。中国政府のOSを国産に切り替える、ロシアにCPUを提供するといったニュースも出てきており、大胆な試みもなされている。短期的には成功しなくても、長期的には何らかの成果が得られる可能性が高く、目につく失敗を捉えて油断してはならない。                                 本件については、CSETの報告書にて詳細が取りまとめられているため、今後機会があればご紹介したい。

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