温室効果ガス排出ゼロ政策とその影響(CFACTの記事)
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CFACTは2021年8月23日に、温室効果ガス排出ゼロ政策についての記事を発表した。内容は、温室効果ガス排出ゼロ政策の非現実性や経済に及ぼす悪影響について批判的に論じるものである。環境政策を推進スタ結果の悲惨さがわかるという意味で示唆に富んでいることから、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Canada’s path to net zero, the model for world destruction: Part Three)
https://www.cfact.org/2021/08/23/canadas-path-to-net-zero-the-model-for-world-destruction-part-three/
1.本記事の内容について
・世論調査によると、西側諸国の半分以上の国民は、人由来の温室効果ガス排出が気候変動に影響し、結果として損失をもたらすと考えている。しかし、ほとんどの国民は気候変動対策に年間100$以上支払いたくないともしている。例えば、カナダは国民一人当たり年間100ドル以上負担しており、更にこのような政策のため収入も低下している。
・BPの調査によると、二酸化炭素排出量は増加しており、2009年に297億トンだったものが、2019年には342億トンと15%も増加している。OECD諸国は削減に尽力しているものの、非OECD諸国は全排出量の65%を占めており、過去11年間において、OCDE諸国が削減した排出量の10倍にも上っている。
・実質ゼロ政策は、経済成長にも大きく影響する。2017年の一部の経済関係の報告書によると、世界経済は2050年に現在の2倍以上になると予測されており、特に、新興市場(中国、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコ、トルコ)は、世界平均の2倍以上の早さで成長すると試算されている。この結果、2050年の経済大国7か国中6か国が新興国になると見込まれ、アジア、中東、アフリカで化石燃料の需要が増加することになる。
・実質ゼロ政策の支持者は、Covid-19パンデミックのロックダウンなどで、2020年において、温室効果ガス排出を6%も削減できたとしてこの手の政策を支持している。
しかし、今後エネルギーの消費が復活することが見込まれており、世界の石油消費量は、2021年は1日当たり、540万バレル増加するとされている。第一四半期は9310万バレル/日、年末までに9960万バレル/日、年末までに1億14万バレル/日になると試算しており、2019年比で1.3%増の水準である。石炭も2019年比で4.5%増加することが見込まれており、途上国からの需要も減少することはなさそうである。
2.本記事読後の感想
OECD諸国はどこもエコに苦しめられているというか、縛りプレイをしているようだ。ヨーロッパは無駄に先行しているが、カナダも同じようだ。民主主義陣営にいると、エコやポリティカルコレクトネスなどの価値観が布教されてしまうというコストがある。
日本は島国の利点を生かしてガラパゴス的であって欲しいのだが、こういうところだけは無駄にグローバルである。日本はすでに二酸化炭素排出量が先進国においてトップクラスで少なく、これ以上排出を削減しても、世界的な貢献はほとんどない。むしろ、日本の技術を輸出し、途上国の温室効果ガス排出量を削減するよう支援することが望ましいのだが、化石燃料だけを悪者に仕立て上げ、こういった動きが封じられてしまっている。その中で、台湾への火力発電所の輸出は少しだけ明るいニュースである。
パリ協定の各国の目標において、パキスタンは協定の期間中に排出量の記録を更新する可能性があるとしており、こういったふざけた目標を許容している限り、温室効果ガス排出削減は達成されないだろう。昔は「省エネ」と言っていたものが、いつの間にか「環境に優しい」や「エコ」となり、エネルギー効率から二酸化炭素排出量が着目されるようになってしまった。ここは原点に返って、エネルギー効率を上げることが望ましい政策の在り方だろう。
日本はアジアの国々を取り込み、省エネを推進するべきであり、勝手に自国を縛り上げる先進国に歩調を合わせる必要はない。アメリカやヨーロッパは自国を弱体化させることで、グリーンイノベーションを創出する力を自ら削減しており、結局は他国の技術に依存するようになることが見込まれる。ここで日本は、エネルギー効率を上げる技術に10兆円ファンドを利用するなどしてイノベーションの創出に取り組み、欧米の市場を奪うくらいのしたたかさを見せて欲しいものである。
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