COP26に備える(CFACTの記事)
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2021年10月18日にCFACTは、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)開催に伴い、その見通しに関する記事を発表した。内容は、先進国と途上国との調整が不首尾に終わっていること、気候変動財政支援がうまくいっていないことなどを概観し、批判的に論じるものである。COP26が目前と迫る中、これ以上化石燃料への不当な批判を野放しにせず、適切な環境政策を考えるヒントとするため、本記事の概要について紹介させていただく。
↓リンク先(UN COP26 climate conference: Be prepared for a good Laugh)
https://www.cfact.org/2021/10/18/un-cop26-climate-conference-be-prepared-for-a-good-laugh/
1.本記事の内容について
・第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が11月1日からイギリスのグラスゴーにて開催される。過去25回の会議では、先進国と途上国との間で排出枠の調整や予算獲得競争が行われてきており、今回もそうなるだろう。OECD諸国が排出削減目標を達成しようとするなら、世界各国が2050年までに温室効果ガスを大幅に削減しなければならないが、OECD以外の各国の合意を取り付けなければならない。
・2021年7月に途上国100ケ国が、気候変動軽減対策及び対応措置関してOECDの支援を要請する計画を発表した。趣旨は、過去に先進国が輩出した温室効果ガスの損失補填をするべきとし、5つの必要な行動について提示している。
① 大きな責任と能力のある国によって、国連の温暖化1.5℃以内の目標を達成するよう、削減目標を定める。
② 最も脆弱な国々に対して、気候変動対応の財政支援を行う。
③ 先進国が歴史的に十分に削減できなかった分量だけ、発展途上国に十分な補償金を支払う。
④ 2024年までに少なくとも1000億ドルの気候変動対策に対する財政支援を行い、今後も増額していく。
⑤ 気候変動対策を推進するため、透明性のある排出権取引や時間軸で政策を実施する。
・本計画では、5つの富裕な国々及びEUが財政支援をするよう求めている。しかも歴史的な責任及び能力については、途上国が判定するのである。詳細については、以下のとおりである。
① アメリカは、2030年までに2005年比で195%の削減を公約するべきである。この数値はアメリカ単体の排出量70%の削減と、毎年度800億ドルの途上国支援による排出削減の125%である。
② EUは、2030年までの排出削減目標を1990年比で少なくとも65%削減するべきであり、途上国に対して毎年度330~360億ドルの気候変動の財政支援を行うべきである。
③ イギリスは、2030年までの排出削減目標を1990年比で少なくとも75%削減するべきであり、途上国に対して毎年度460億ドルの気候変動の財政支援を行うべきである。
④ カナダは、2030年までの排出削減目標を2005年比で140%削減するべきである。少なくともカナダの排出量60%削減と毎年度40億ドルの気候変動財政支援を行うべきである。
⑤ オーストラリアは、2030年までの排出削減目標を2005年比で少なくとも65~80%削減するべきであり、途上国に対して少なくとも毎年度25億ドルの気候変動の財政支援を行うべきである。
⑥ 日本は、2030年までの排出削減目標を1990年比で少なくとも45~50%削減するべきであり、途上国に対して少なくとも毎年度90~100億ドルの気候変動の財政支援を行うべきである。
・興味深いことに、富裕かつ排出量の多い中国は含まれていない。先進国の毎年度1000億ドルの気候変動財政支援が公約されているものの、2012年に設立されたグリーン気候基金にはほとんど拠出されていない。これは、途上国各国間で資金を受け取る優先順位や排出量について合意できないことの証拠である。それにも関わらず、基金への要求額は増額し続けており、インドは1兆ドル、アフリカは3兆ドルを求めている。既存のOECD諸国による支援は2017年度で710億ドル以上となっているが、借款の形を取っているため、途上国はこれを支援だと認めていない。
・このような状況下では、COP26はうまくいきそうにないが、なぜこのような無駄な会議を続けているのか。一つ目は、社会主義者の官僚が政府の予算で世界旅行を楽しむためである。二つ目は、人為的な気候変動に伴う不正な利益を確保し続けることである。三つ目は、社会主義政府による単一の国家を推進するためである。
2.本記事読後の感想
最近のエネルギー価格の上昇などを受け、先進国も若干冷静になってきたようだ。日本はIPCCの修正を求め、欧州委員長は原発の必要性を訴えるなど、脱炭素の過度な動きに待ったをかけるようになってきた。
EUは特に苦しい状況にあり、天然ガスの長期契約を行っていないことから価格が旧常用している。この冬の天候がどのようになるのかは分からないが、もし厳冬になるとすれば、冬場の死者急増により、化石燃料削減の政策を大きく転換しなければならなくなるだろう。
日本は天然ガス確保に産業全体で取り組むとしており、とりあえずはEUよりも賢明な動きを見せているようだが、メディアをはじめとした情報発信では環境政策が相変わらず流行りである。
総選挙の投票が近づいているため、あまり環境政策がニュースにならないが、COP26が開催されるとこの手のニュースが喧しくなる可能性が高い。岸田政権がそれほど大きな勝利を収めそうにないことから、世論での圧力をかけやすい状況が生まれそうである。今の内から正しい知識を身に付け、異常な環境政策推進に対抗していけるようにするべきである。
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