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ブレークスルー感染及び死亡者に関する統計分析(2)(ヘリテージ財団の報告書)

本記事は、ブレークスルー感染及び死亡者に関する統計分析(1)(ヘリテージ財団の報告書)の続編である。前回の記事は以下のリンクを参照。https://note.com/karzy_kemaru/n/ne872186ce8f5

1.本報告書(2)の内容について
 ・CDCの新しい推奨事項は、7月30日の罹患率及び死亡率週報(MMWR)を基礎としている。ただ週報のサンプルには偏りがあり、フェスティバル中にバーンスタブル郡に滞在し、COVID-19に感染したと報告した者しか含まれていない。本週報の作成者は、「感染拡大状況における、デルタ株を含むARS-CoV-2に対するCOVID-19ワクチンの効果について結論を出すには、不十分である。」と結論を保留しているが、なぜか「感染状況やワクチン接種状況に関わらず、公共の屋内施設でのマスク着用を含む感染防止措置を考慮することが必要である。」といった趣旨の文言が盛り込まれている。このような表現は国民を誤解させ、不必要に恐怖を拡散する以外の何を目的としているのかを見出すことは困難である。
 ・7月29日現在、確認されたCOVID-19陽性者の累計数は、934人であり、このうち560人がマサチューセッツ州の住民である。このデータは、陽性者となったマサチューセッツ州の住民のうち、73%がワクチン接種済みであるが、州の保健省は、州外からの訪問者の要請者のワクチン接種率を特定していない(もしくはできていない)のである。
 このことから、本報告書において、ヘリテージ財団による試算を提示する。前提とする条件は、以下の通り。
 ① フェスティバルの参加者を6万人とする。(オンラインの記事を参考にした。)
 ② 感染者におけるワクチン接種率を70%とする。
 ③ フェスティバル参加者のワクチン接種率を90%とする。

表1
マサチューセッツ州バーンスタブル郡の公共の場の集会における、COVID-19陽性率の計算

6万人の出席者、感染者におけるワクチン接種率70%、全体のワクチン接種率は90%であることを想定する。

COVID-19の表1

 ワクチン接種率を90%と想定すると、ワクチン接種済みの人数54,000人に対してCOVID-19陽性率は1.21%しかなく、ワクチン未接種の6,000人に対しては4.67%である。
 更に様々なワクチン接種率を想定した試算を図3に示す。

COVID-19のデータ3

 図3によると、全ての想定の下で、(バーンスタブル郡のイベントに関する)ワクチン接種済み者のブレークスルー感染率は、想定される出席者全体の2%以下であり、デルタ株に感染したCOVID-19の患者133人のうち、5人が入院(試算した出席者の0.008%)しているが、1人として死亡者はいない。
ワクチン接種済み者において、ワクチンは明確に相当のCOVID-19に効果があり、入院患者は0.003%、死亡者は0.0007%である。この率は、ワクチン接種済み者がCOVID-19のために入院する確率が約31,000分の1であり、死亡するオッズが137,000分の1である
 他の死因を比較して見ると、COVID-19の危険性がより明確になるだろう。(図4参照)

COVID-19のデータ4

 図4が示すように、ワクチン接種後にCOVID-19で死亡する確率は、落雷と同水準である。ただ、高齢のワクチン未接種者及び慢性的な疾患のあるワクチン未接種者にとって、COVID-19はかなり致命的であることが分かる。(図5参照)

COVID-19のデータ5

 アメリカでCOVID-19パンデミックは始まってから1年以上経過しており、今や豊富なデータが政治家及び国民に提供されている。政府当局者がこのエビデンスに基づき、公衆衛生問題を政治化しないことが重要である。

・ワクチン接種を推進し、マスク着用義務化を止める。         エビデンスは、デルタ株を含む深刻な病ないしは死亡に対する大きな予防効果があることを示している。従って、政治家はワクチン忌避者がワクチン接種するよう促すべきであり、接種済み者に対してマスク着用義務化を求めるべきではない。
 
・データに着目し、正確に提供されるようにすること。        CDC及び他省庁は、より多くのブレークスルー感染に関する公開データを公表し、ワクチン接種済み者との関係についての情報を提示し、恣意的に選択した作為的サンプルを用いるべきではない。当局者はデータを正確かつ責任ある形で提示することにより、COVID-19を政治化することを回避する義務がある。

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