北朝鮮の西海衛星発射場の衛星画像情報続報
写真出展:Ashim ShresによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/asimalways-15006432/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=4787361
CSISは2023年3月15日に、北朝鮮の西海衛星発射場の衛星画像分析に関する記事を発表した。内容は、令和5年3月1日の衛星画像を中心として、衛星発射場の稼働状況を分析するものとなっている。昨年7月の衛星画像分析についても記事にしたが、今回はその続報の位置付けである。相変わらず景気よくミサイル発射実験を行っているが、本件にはロシアも深くかかわってきているようであり、今後事態は更に深刻になっていくだろう。安全保障問題を考える上での参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(Progress at Sohae Points to Larger Space Launch Vehicles in the Future)
https://beyondparallel.csis.org/progress-at-sohae-point-to-larger-space-launch-vehicles-in-the-future/
前回の記事は、以下のリンクを参照
北朝鮮の西海衛星発射場の衛星画像情報(CSISの記事)|カーズィ|note
1.記事の内容について
・西海衛星発射場の南西2km程度の所で桟橋が建設されている。埠頭も建築中であり、衛星打上げのための発射台用具の運搬に用いられることが予測される。
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(画像1 2023年3月1日現在の桟橋建設現場画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
桟橋から3kmほど北西の所には、トンネルの建設現場がある。当初建設目的が不明だったが、海からの発射台用具搬送のための通路として用いるためと予測される。
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(画像2 2023年3月1日現在の発射場西側開発地区周辺拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
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(画像3 2023年3月1日現在の発射場東側開発地区周辺拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・桟橋とトンネル建設現場の間には、採石場があり、ここはたった2か月で大きく開発されている。桟橋とトンネルの建設と関連しているものと考えられる。
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(画像4 2023年3月1日現在の採石場周辺画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・発射場入口の北側にある鉄道用倉庫には、あまり動きが見られない。石炭を運搬したと思われる黒い跡がレール上に見えられる。また屋根が損傷している箇所が確認されている。
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(画像5 2023年3月1日現在の鉄道用倉庫画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・管理保安本部周辺では、建設重機や運搬車両が確認されている。また堆積された土砂などが減少しており、建設作業が順調に進められていると考えられる。
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(画像6 2023年3月1日現在の管理保安本部画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・水平統合棟の建築資材は減少してきており、完成が近いことを示唆している。また新しい統合施設も建設中である。
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(画像7 2023年3月1日現在の水平統合棟画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
旧管制センターが新しい統合施設に改修されており、発射台用具搬送などに利用されると見込まれる。
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(画像8 2023年3月1日現在の旧管制センター画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・発射場の400m北西に、建築支援複合施設と倉庫群がある。建設作業はあまり進んでいないものの、車両が急増している。
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(画像9 2023年3月1日現在の建築支援複合施設及び倉庫群画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・発射場についても、1月からあまり大きく変化していない。燃料・オキシダイザー貯蔵庫が若干拡張されたようである。
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(画像10 2023年3月1日現在の衛星発射台周辺画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
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(画像11 2023年3月1日現在の衛星発射台周辺の拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
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(画像12 2023年3月1日現在の衛星発射台西側周辺の拡大画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・龍山の垂直エンジン試験場は、大きな変化が認められた。垂直エンジン試験場周辺には作業員、建設車両、堆積された土砂が確認されている。水平エンジン試験場への道路建設が進められていると考えられる。
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(画像13 2023年3月1日現在の龍山垂直・水平エンジン試験場画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・水平エンジン試験場から新しい施設への道路も敷設されている。新しい施設の用途を判断するには時期尚早だが、展望塔や遠隔測定塔に用いられることが想定される。
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(画像14 2023年1月18日現在の龍山水平エンジン試験場画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
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(画像15 2023年3月1日現在の道路拡張工事現場画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
・2022年8月に壁で囲われた複合施設の建設が開始されたが、それほど大きく進展していないようだ。
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(画像16 2023年3月1日現在の保安施設に隣接した施設画像(著作権は、2023年Airbus DS 2023))
2.記事読後の感想について
例のごとく、CSISはエアバスの画像の転載権を保有していないため、リンクのみの記載となっており、読者の皆様にはご不便をおかけすることをお詫びしたい。
世界的に景気が悪化傾向にあるものの、北朝鮮は何とか資金を入手して「衛星発射場」を建造し続けている。台湾有事がかろうじて情報として出回るようになったものの、日本人は現在の状況に慣れてしまっているためか、あまり危機感が共有されていないように思う。
岸田総理がウクライナを訪問して少しばかり安全保障関連のニュースが出たとしても、単発で終わってしまい、なかなか安全保障問題を考える材料にはなっていない。この状況を改善するには、継続的かつ質の高い情報の発信を粘り強く進めていくしかないだろう。政府や政権は頼りにならない。良い情報を入手するには、自分で収集・整理していくしかないのである。
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