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IPCC第6次評価報告書の誤りを正す(CFACTの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=3835520

 2021年10月28日にCFACTは、CLINTELという団体が発表したIPCC第6次評価報告書の誤りを指摘した書簡に関する記事を発表した。内容は、IPCC第6次評価報告書の精査決定者向け要約の内容(二酸化炭素濃度、温暖化、海面上昇など)の各種誤りを科学的に指摘するものである。COP26に間に合わせて発表されたものであるが注目度が低いのは、非常に残念である。日本ではほとんど見られない情報であり、非常に参考になることから本記事の概要について紹介させていただく。

↓リンク先(CLINTEL catalogs IPCC errors in time for UN COP 26)
https://www.cfact.org/2021/10/28/clintel-catalogs-ipcc-errors-in-time-for-un-cop-26/

1.本記事の内容について
 ・CLINTELという団体が、アイルランドの気候科学フォーラムと共同で、IPCC第6次評価報告書の政策決定者向け要約における「虚偽」について発表し、所管の形でIPCC座長のリー博士に送付した。本件に関する主要な結論は、以下のとおりである。
  「残念なことに、政策決定者向け要約は、現実に存在しない「気候変動危機」を誤って指摘していると結論付けた。ここ数十年の緩やかな気候変動への分別のある対応が必要とされているのが現在の状況であり、気候変動軽減のために劇的な社会、経済、人間活動の変革を正当化することはできない。本評価報告書の中で提言されている政策の影響力を鑑みるに、政策決定者向け要約は科学的に最高峰の基準となり、IPCC内の科学的整合性を持ったものとならなくてはならない。」
 ・また送付した書簡において、温暖化に関する誤りも指摘している。「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がないとしているがこれは誤りである。1850年から1900年にかけて1℃以下の緩やかな温暖化が観測されているが、これはまだ完全に解明されていない人類及び自然の影響の組み合わせにより発生している。グラフ1を詳細に分析すると、過去2000年間における様々な期間の指標を脈絡なく組み合わせただけのものであり、ローマや中世の温暖化の時代や小氷河の時代の変化が適切に反映されていない。
 ・「極端な気象現象」についても、より正確に記述されていた原稿とは異なり、誤って記述されており、統計的に意義のある変化がないものが列挙されている。寒冷圏の変化についても誤っており、過去15年間において北極海の氷には変化の傾向がないと述べている。海水面上昇についても誤っており、2100年までの海水準変動の上昇は、気候変動危機の水準にはない。CMIP6(第6 期結合モデル相互比較プロジェクト)のモデルは、過度に気候感度が高い第5期のものよりも更に感度が高くなっており、査読された科学的な成果も取り込んでいない。
 ・今回のCLINTELの指摘は、観測結果とも合致している。(2021年9月現在のデータについては、https://www.climate4you.com/を参照。)

 ① 過去30年間において、世界の平均気温は10年あたりたった0.17℃しか上昇していない。
 ② 潮位観測によると、平均的な海面上昇は年に1から2mm程度である。
 ③ 過去20年間において、世界の100mまでの海面気温は0.2℃しか上昇しておらず、これの主な要因は赤道付近の太陽放射によるものである。
 ④ 大気中の二酸化炭素濃度は、世界の気温変化に追随しており、世界の気温は海面温度に追随している。(つまり、二酸化炭素濃度の上昇は原因ではなく結果である。)
 ⑤ Covid-19パンデミックに伴う二酸化炭素濃度の減少は、ほとんど見られない。このことは、自然要因が人間的な要因をはるかに凌駕していることを意味している。
 ・2010年の報告書では、国連事務総長及びIPCC座長双方の要請により、独立した査読が行われ、査読者の意見が十分に反映されていた。しかし今回の報告書ではそのような兆候がほとんど見られない。気候変動科学はもはや政治の道具に成り下がっており、理論的なモデルからイメージへと変化したのである。

2.本記事読後の感想
  IPCCの第6次評価報告書の批判がCOP26の前に提示されたわけだが、主流メディアで取り上げられた様子はない。これは驚くに当たらないが、何とも情けないと言うか、残念な状況にある。
  IPCCの報告書は3つに分かれており、政策決定者向け要約、技術要約及び報告書本体で構成されているが、この報告書内でも矛盾がある。技術要約によると、本報告書のモデルが的確に各地域の温度上昇を予測できるわけではないとしているが、政策決定者向け要約では人間の影響が疑う余地がないとなっている。内部でも矛盾があるわけであり、科学的な検証に耐えうるものでないことは、この事実を見るだけでも明らかである。
  ただ、このようなことに負けずに情報を提供し続けなければいけない状況であることに変わりはない。COP26の前に日本をはじめとした国が極端な化石燃料削減に反対したり、EUが原発の稼働を容認したりと、再生可能エネルギーの限界が見え始めており、極端な環境政策を見直す機運は着実に高まっている。


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