エンドレスフロンティア法は無限支出法である(公共政策研究国家センターの記事)
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公共政策研究国家センター(National Center For Public Policy Research)は2021年7月5日に、エンドレスフロンティア法に関する記事を発表した。他のシンクタンクと同様に批判的な内容であるが、環境ではなく国家科学基金(NSF)の役割に着目している点が特徴である。このことは、日本にとっても参考になると考えられることから、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(“ENDLESS FRONTIER ACT” IS ENDLESS SPENDING)
https://nationalcenter.org/ncppr/2021/07/05/endless-frontier-act-is-endless-spending/
1.本記事の内容について
・中国との競争で対抗すると銘打ったエンドレスフロンティア法は、「無限支出法」としか表現しようがないものとなっている。本センター上級シニアフェローのホラス・クーパーによると、本法案は知的財産の窃盗や経済諜報活動に取り組むのではなく、中国共産党流の官僚制を模倣しているとしている。
・本法案は1100億ドルの裏金を創設し、その多くは国家科学基金(NSF)経由で配分される。目的は新興技術を振興すると言うものであるが、実際には恣意的に勝者と敗者を決定し、納税者がその付けを払うことになる。NSFは無駄遣いのイメージキャラクターであり、具体的には以下の事例がある。
‣黒カブトムシの幼虫を「重要なたんぱく源」として、300万ドル計上した。
‣糖分を高めるとトマトの味が改善されることを発見するため、200万ドル計上した。
‣ランニングマシンを歩くトカゲの関節の研究に、150万ドルを計上した。
‣気候災害の検証のため、学者をハワイに派遣する事業に、複数年に渡り累計310万ドルを計上した。
・上記の例は、NSFの予算が少なかった時代の案件であり、今後1100億ドルの予算が配分された場合、成功しそうにはない。中国流のトップダウンはアメリカになじまない。アメリカはリスクを称賛し、失敗を許容することでイノベーションを創出してきたのである。従って、中国の知的財産の窃盗を防止することが最重要事項なのである。
2.本記事読後の感想
国家科学基金(NSF)は、日本で言うと学術会議に相当する。この話を聞いただけでも、成功しなそうな見込みである。一見何の役に立つのかわからない研究を許容する度量も大切であるが、利権のための研究など認めるべきではない。また、軍事目的だからということで研究を認めないということもあってはならない。研究者や研究機関の努力を正当に評価することが必要である。
私は当初、エンドレスフロンティア法(イノベーション及び競争法)を評価していたが、少し心配になってきた。日本はこの流れの中で適切に立ち回って欲しいが、実際には似たような結果になってしまうのではないかという危機感を持っている。具体的には、環境関係の技術などに多額の予算が割かれてしまい、必要な基礎的研究の予算が認められないなどの事態が発生しそうだ。
科学技術を巡る情勢は予断を許さなくなっていることから、今度の衆議院選挙は科学技術も争点の一つとし、国民の意識啓発を促してもらいたいものである。
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