イギリスのインド太平洋への艦隊派遣(IISSの記事)
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英国国際戦略研究所(IISS)は2021年8月12日に、イギリスのインド太平洋への艦隊派遣に関する記事を発表した。内容は、艦隊派遣の効果及び関係国の期待と今後の展望を概観するものである。南シナ海や台湾などの安全保障に直結する重要な内容となっていることから、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(UK Carrier Strike Group: meeting Indo-Pacific expectations?)
https://www.iiss.org/blogs/military-balance/2021/08/uk-carrier-strike-group-indopacific
1.本記事の内容について
・最初の派遣から2ケ月が経過したが、7か月半に及ぶ任務の中で、この時期が最も重要な局面である。
クイーンエリザベス率いる新しい2隻の65000トン級航空母艦が、アジア太平洋地域に展開している。これは政府の「世界の中のイギリス」という観点及び「インド太平洋地域への傾斜」を象徴するものと見られている。艦隊編成やCovid-19発生などの問題を抱えつつも、今のところはイギリス政府の期待通りの働きを見せている。
・艦隊派遣の前には地中海でNATOの軍事演習を実施し、インド洋ではアメリカ海軍の航空母艦ロナルドレーガン及び強襲揚陸艦イオー・ジマ、インド海軍との演習も実施した。その他、マレーシア、シンガポール、タイ海軍との小規模な軍事演習も実施している。
・イギリスは海軍増強に努めており、その能力の限度を実戦で確認しつつ、能力改善の様々な取り組みを行っている。ヘリコプター用に開発してきたクラウンズネストレーダーやアスチュート級原子力潜水艦などを配備している。その他アメリカの駆逐艦やオランダのフリゲート艦と共に展開しており、同盟国や友好国と統合的な運用を試行している。
・この艦隊派遣の中核には、英日の軍事・安全保障関係の進展がある。2012年に英日の関係強化が提唱され、2013年には武器や軍事技術提供、情報セキュリティに関する合意が締結され、外務・防衛両大臣の2+2の定期的な対話なされるようになった。2+2対話により更に関係が進展し、2017年に両国の防衛ロジスティック条約が締結され、初となる空軍の共同訓練が実施され、陸軍の共同訓練も増加している。
2017年に安全保障協力の共同声明が発表され、現在はイギリスのメテオミサイルをベースとした対空ミサイルの共同研究も進められている。
2021年初頭には海軍と海上自衛隊との間で海軍安全保障合意が締結されており、将来において、海外で空母を展開するkとになることが見込まれている。
・このような防衛上の関係発展は、イギリス海軍の今後の任務に大きな影響を与える者であり、同盟国や友好国との共同訓練も重要であり、アジア太平洋地域におけるイギリス艦隊の影響力の程度及び軍事的能力を得るよい機会となるだろう。
2.本記事についての感想
最近、インターネット界隈では単発的に話題となっている、イギリスのアジア太平洋への艦隊派遣に関する記事である。本来であれば、大手メディアがこぞって取り上げるべき内容なのだろうが、日中記者協定の影響のためか、全く話題にならない。
イギリスの海軍はかつての面影はなく、かなり衰えており、思ったよりも期待はできないのであるが、民主主義国家の連携の成果を示すと言う点では効果的であった。その証拠として、中国側の軍事演習は中国本土に近い海域で実施されており、中国を威嚇する効果はあったと見ることができる。
本来あるべき姿としては、日本がこのような役割を果たすべきなのだが、何とも情けない限りである。防衛費は実質減額となっており、言葉だけでは何もできない。せめて新兵器などの整備で効率的対抗してもらいたいが、残念ながら整備される兵器は安価で当たり障りがないものばかりになりそうである。現在期待できるものとして、電気を利用した兵器があるとのことであるが、ベンチャー企業のものであり、採用される見込みがなかなかないことや、中国などから資金提供の申し出があるなど、取り込みの可能性もあるということだ。
こういった小さな失敗が後になって大きな影響を及ぼす例は枚挙にいとまがない。北京オリンピックが終了すれば、中国が攻勢に出てくることは間違いない。海外に頼るのではなく、日本が主体的にアジア太平洋の安全保障に取り組むことを望むものである。
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