カバー株式会社 第8期定時株主総会 〈株主質問 全問書き起こし 2024.6.27〉
はじめに
2024年6月27日、カバー株式会社の第8期定時株主総会がバーチャルオンリー形式(完全オンライン)にて開催されました。
その中で株主より寄せられた質問と回答を書き起こしたものを取り纏めました。全問書き起こしのため重複する質問、回答がございますがご容赦願います。
なお、全ての質問の読み上げ、回答は谷郷元昭代表取締役社長が実施しております。
事前質問(全15問)
取締役報酬に関する考え方について
回答
全国における企業規模、従業員数など統計における報酬のデータをベースに、毎年報酬委員会で議論のうえ改定を行い決定しています。個別の報酬につきましては、前述で決定されたテーブルを忠実に厳守することで、前期の当社売上、利益率、役員の業績を判断したうえで全会一致を持って決定しております。また、役員報酬が適正に支給されているか否かについては、株式での報酬支給の可能性も含めて、継続的に検討してまいります。
株主還元策(自社株買い・配当等)に対して、何か具体的なお考えはありますか
回答
当社の方針は、VTuber市場が依然として高い成長市場であるという認識のもと、事業活動により得た資金を事業投資に投じることにより、持続的な成長を実現する優先度が高いと考えています。また上場時点においても、現時点においても、中長期の成長にコミットすることを掲げており、それらが達成される時間軸において、還元も含めた議論をする必要があると思っています。会社としては道半ばであり、引き続き企業価値の向上に向けて事業活動に努めていく所存です。
ただし、現状において具体的に申し上げることはございませんが、著しく企業価値が毀損される事業活動上にも影響があると判断される場合においては、あらゆる施策を検討する考えでございます。
IR活動の今後の方針について教えてください
回答
株価に関するご意見・ご質問もいただいておりますが、短期的な株価動向は金利動向などの外的要因の影響も大きく、直接のコメントは控えさせていただきますが、依然として当社の成長余力は大きいと考えております。
IR活動の方針については、先ほどの回答に加えて、グロース企業として中長期の拡大方針とその進捗を市場へしっかりと伝えていくことにより、長期時間軸での投資参加者の比率を増やしていくことが株価の安定にとっても重要であると考えています。2024年3月期の実績としては、年4回の決算発表に伴う説明会の実施、そしてその書き起こしの掲載を中心に広くIR内容について開示しております。また年間300件以上の機関投資家とのミーティングを実施しているほか、主要カンファレンスの参加を実施しております。
今後はプライム市場への市場変更も見据え、IR施策について更なる拡充にむけた体制の整備を進め、中長期の投資に関するIR活動を心掛けてまいります。
今後の海外進出方針について、どの様に進めていかれるか教えてください
回答
こちらにつきましては、6月22日に当社のグローバル展開の方針について一定の方針をお示ししている通り、当社はVTuber自身も含めたクリエイターの皆さまが活躍する舞台を提供しているとも考えており、そして今後よりグローバルに愛されるコンテンツに強く成長することでクリエイターが活躍する機会もより幅広く世界中に提供できると考えています。
そのような中で、海外展開にあたってはアニメの文化が大きく浸透している北米やアジア、欧州の地域を当面の重点地域として考えています。まずはそうした地域において現地商流に精通した代理店などを通じて、ローカライズされたコンテンツ、商品、サービス等の配下を増やしていく想定です。
またご質問にも頂戴しておりますが、その中には中国も含まれており、その他の地域と同様の展開を予定しています。例えばフランス・パリでのイベント出展や、韓国・ソウルでのライブビューイング、コラボカフェなどのように、中国においても上海を中心に、代理店や企業を通じてコンテンツ展開やイベントを実施しながら、企業とのタイアップ案件などBtoB取引を増やしていきます。
このような取り組みを通じ、世界各国のプラットフォームやゲーム企業等との取引を広げることでゲーム配信許諾タイトルが増加するなど、タレントにとってより幅広い活動が行えるような環境を整えることが当社の中長期的な成長にとっても重要であると考えています。
また、海外展開を始めた当初は、社員は100人にも満たない状況でしたが、今は500名を超える規模になりました。管理体制を含めて充実させており、今後引き続き体制を整えながら、何か問題が発生した際には適切に対処する方針でございます。
COVER USAについて、設立の意図や活動方針、目標等について教えてください
回答
COVER USAは2024年3月の発表の通り、本年7月の活動開始を予定しており、当初の予定から遅延はございません。この会社は主に北米現地での営業活動をメインとして、現地での事業拡大のためのBtoBパートナーシップマネジメントなど、事業開発のための拠点として運用される予定です。
海外展開にあたっては、地域ごとの異なる商流に適合したビジネスを実施することが重要と考えておりますが、そのためにまずは現地パートナーと現地時差帯での商談などを行える体制の構築が必要と考えております。
まだ開発フェーズであり、明確な目標はありませんが、将来的には日本の規模と同程度まで売上を伸ばすポテンシャルはあるものと考えている状況です。
外部攻撃への取り組みや情報漏洩に関する対策について教えてください
回答
具体的な対策についてはセキュリティ上お話することが出来ませんが、情報管理全般の対応として、情報セキュリティのほかリテラシー向上の教育、セキュリティ機器に関する情報キャッチアップ、適切なアップデートの社内周知、各種アカウントにログインする際の認証強化措置などの対策を実施しており、インシデント発生時には明確化された社内フローにより対応を行っております。
また情報漏洩については権限管理等の情報統制を随時アップデートし、事前にできる対策を更新しております。万が一発生した場合は、社内においては規定に基づいた懲戒処分を検討・実施しているほか、外部に対しては取引停止や補償等の対応を求めており、実効的な対応を実施しております。
新スタジオを設立したが、稼働についての状況と今後の見通しについて教えてください
回答
新スタジオの稼働状況に関しては順調に進んでおり、配信案件を待つ体制が整っている状況です。スタジオの活用に関しては、スタッフ負担だけでなく、ゲスト出演を含めたタレント負担の増加も懸念として挙がり、今後も状況を見ながら配信人選のバランスを模索してまいります。
また今後はより柔軟にスタジオを活用できるように環境整備に取り組んでいるほか、引き続き3Dモーションキャプチャを用いた技術やコンテンツの研究開発用途での活用も想定しております。
今後のイベント開催方針や予定について教えてください。他社との協業による開催についてはどうお考えでしょうか
回答
全体ライブ、ソロライブともに出演するグループやタレントの通常の活動などをもとに、極力適切なキャパシティの会場で行うこととしています。開催方式についても、お客様に一定水準の体験価値提供を基準に実施し可否判断をしています。
必ずしも自社開催のみに限定しておりませんが、今後の具体的な予定については現状お答えできません。
イベント開催時に発生した問題について、今後どのように課題解消していくのか、教えてください
回答
当社の方針としては、ファンの体験価値を優先とした設定を心掛けており、至らない点は次年度以降の課題として取り組んでおります。なかでも体験価値を損ねるようなトラブルは大変重要な課題であると捉えております。
その他、外部事業者は複数検討してうえで最適なものを選択しておりますが、想定外のトラブルも発生する可能性もございます。いただいた意見も参考としながら今後に取り組んでまいります。
ホロライブプロダクションの運営方針について教えてください
弊社では様々な魅力を持ったタレントが所属しており、歌はもちろんではございますが、ゲームだったりトークだったりそれぞれのタレントにしかない魅力があると考えております。弊社としてそうしたタレント性を大事にしつつ、その魅力を惹き出し最大限活かせるようタレントそれぞれに合った施策をこれまで同様に検討・実施しております。
また海外については先日弊社よりアナウンスしたグローバル展開の方針の通り、海外タレントに関しては重要事業として捉えております。本年は先日デビューしたタレントに加え、イベント開催やライブツアーを行いより海外タレントを現地へ届けることで地域を越えた世界が愛するカルチャーの実現を目指していく想定です。
タレントサポートについてのお考えを教えてください
回答
タレントの健康管理に関しては、タレントマネージャーが常日頃タレントの健康状態に気を配ったり、配信頻度や時間のモニタリングなどの情報をタレントと共有し、健康管理を促すことが出来るような体制構築を行っております。また会社からタレントの健康診断費用を負担し受診サポートを行うことで病気や体調不良の早期発見につながる体制構築を進めています。
次にタレント教育については、デビュー前の事前教育を拡充し、そのうえで問題が発覚時には再度全体にアラーティングや事後対応を実施するなど最善の対応を随時行っております。
タレントサポート全般として、弊社のサポート体制もタレントのステージに応じて必要な環境を整えることがあると考えており、状況に応じて適切に見極めていく方針です。
ホロアースの開発進捗と今後の展開について教えてください
回答
マイルストーン等の実装や調整を行っているものの順調に推移しております。また現時点では開発プロセスとしての検証段階であるため開示可能な情報はございません。メタバース事業については我々が目指すビジョンについて取り組んでいるものであり、弊社の強みを最大限生かせる領域から始め、長期の取り組みとなる想定をしております。
ただし、弊社がバーチャル上で活きるキャラクターがビジネスとして成立している状況であり、これは国内外を見渡してもあまり類を見ない有利なポジションにあると認識しております。このポジションを最大限活かすことで勝ち筋が見いだせると考えており、バーチャル上で自由に活動できる場所を創ることが我々にとっての一つのメタバースとして見据えています。
なお、具体的な施策については様々な開発・検証中であり、現時点での回答は控えさせていただきます。
ホロプラスの開発進捗と今後の展開について教えてください
回答
現状は日本語版のリリースと英語版のβテストを進めている状況で、基本機能の拡充を進めている状況でございます。ホロプラスは、将来的には他社のファンコミュニティプラットフォームと同様の可能性があるものと考えており、先ほどの基本機能の拡充が一定進んだ際に、もう一段新たな戦略が出来ると考えており、現時点では具体的にはお伝え出来ませんが、様々検討しております。
holo indieの設立経緯と今後の展開について教えてください
回答
世界中のホロライブプロダクションのファンやクリエイターと協創することを目的とした二次創作ゲーム向けのゲームブランドとして立ち上げました。これまでも切り抜き動画におけるプラットフォーム上での収益化の許可制など、二次創作に関わるクリエイターの介入を進めており、このholo indieにおいても二次創作ゲームクリエイターに継続的な活動をサポートするための還元エコシステムを提供して取り組み、より多くのファンの皆さまに多種多様な二次創作ゲームを届ける機会の創出を目指しております。
これまでも開発のサポートとしては収益面での還元のほかに、ローカライズのサポートやボイス収録協力などを行っておりますが、将来的にはゲーム開発の手助けとなるような施策を行い、タイトルを拡充しやすい環境を提供することも検討しております。
またインディーゲーム市場やマーケットへ積極的にアプローチし、コミュニティの活性化に貢献することでholo indieブランドの仕事やゲームクリエイター様の認知度向上の機会の創出を行っていくことを予定しております。
採用の状況と人材育成の考え方について教えて下さい
回答
会社体制上、事業拡大に伴う組織拡大にあたっては、各事業において人材の専門・高度化するうえで必要なポジションを募集しております。そのうえで、クローズドな求人もございますが、オープンにすることで目に留まる候補者もいるかと考えており、まずポジションに応じて方針は変えて実施している状況です。
なおプロフェッショナルな技術を要する職種については、キャリア上の特性により正社員として採用することが候補者の志望とマッチしないことがあるため、一部ポジションを業務委託での採用としております。一方で社内でこうしたプロフェッショナル人材を育成することも重要な課題と認識しており、社内・社外の研修を活用し人材育成についても年々拡大したうえで取り組んでおります。
当日質問(全46問)
谷郷代表取締役は昨年急激に痩せたことから病気などではないかと噂を聞いたことがありますが、現在の健康面での懸念はあるでしょうか
回答
今後の業務を滞りなく行う上で、健康面でダイエットを実施したことであり、健康状態について問題はございません。
生成AIに関して会社の見解を示してほしい
回答
当社としては、AIに対する理解を深めているところであり、現時点で統一的なルールは制定しておりませんが、引き続き動向も見ながら検討を進めてまいりたいと考えております。
上場時に集めた資金にて27億円の設備投資を表明されましたが全て完了したのか現状を教えてください。また今後の設備投資計画があれば教えてください
回答
上場時の資料に記載したとおり、新スタジオの設立の設備投資やIP開発の運転資金を想定用途として計画通り実施している状況です。今後については、大型の投資については開示に関わるため現時点で回答することは出来ませんが、将来の成長に向けた戦略上必要となるものに投資をする方針でございます。
今後の採用計画について、前年の株主総会の時点から上下への振れといった点も含めて伺いたい
回答
事業拡大に合わせて継続的な増員を計画しており、特にビジネス開発人材の採用比率を高めることにより収益性を向上させることが出来る人員構成を目指しております。前年株主総会時点からは、事業計画の上振れと整合して採用計画も若干上振れております。
PGCによるグッズ販売に限らずUGCによるグッズ販売許可については考えていますか
回答
現時点では実施させていただいておりません。また二次創作ガイドラインに基づいて切り抜き動画や二次創作ゲームなどの一部の売れ行きについては収益化を認めておりますが、何か変更があった場合はガイドラインを通じてお知らせさせていただきます。
御社の事業や企画について、スピード感やコンセプトの分かりやすさ、宣伝の伝わりやすさについて改善すべきだと感じています。伸び悩んでいる分野にはいち早く外部の企業などの協力を仰ぐべきではないでしょうか。またユーザーに対してはより明瞭かつインパクトある広報を行ってほしいです
回答
ご意見ありがとうございます。全体の方針については回答いたしましたが、それぞれのグループにおいて最適な戦略を議論しております。引き続きいただいたご意見を受け止めつつ、改善できる点は積極的に改善してまいりたいと思います。
昨年8月に読売ジャイアンツさんとのコラボがあり大変に盛況であったと思います。今後のコラボでの展望があればぜひお聞かせいただきたいと思います
回答
将来の施策については現時点では回答させていただくことが出来ませんが、今期についてはドジャースさんとのコラボやhololive CITYなど、様々な企画を実施しておりますので続報をお待ち頂ければと思います。
先日EN Justiceの新曲ジャケット画像やEN 2nd LIVE、ホロウィッチのタイトルが公開前にXタイムラインに流出していたことを確認しました。御社の機密保持体制についてご説明いただけますでしょうか
回答
社内向けには継続的に情報セキュリティのほか、リテラシーの向上の教育に努めておりますが、新しい取り組みなどを行う際に想定外のインシデントが発生してしまうことがございます。インシデント発生時には明確化された社内フローにより対応を行っており、適切な再発防止策を構築することで情報インシデントの削減を図ってまいりたいと考えております。
タレントによる情報漏洩の再発防止についてはどの様に考えているか、どの様に対策をとっていくかの説明をいただきたい。タレントの離脱は影響が非常に大きい業態であるため、重大なリスクと認識して可能な限り最大のフォローを行ってほしい
回答
所属タレント向けに情報管理研修を準備しており、既に国内タレントには2回ずつ実施しており、続いてEN、IDタレントにも実施させていただく予定でございます。
事業年度について、3月末締めではなく12月締めに変更する予定はないでしょうか
回答
第1号議案での定款変更案にも記載のある通り、現時点では事業年度は4月から3月までとさせていただいております。
IRとして公開する定義を教えてください。直近ではTCG、ワールドツアーがありましたが、他にもドジャースコラボ、hololive CITY、EN新人デビューなど、株価にポジティブなニュースがありIRとしても出しても良いと思いました
回答
開示については、決算説明会等でお伝えしている重要施策に関するものや業績上のインパクト等を勘案し実施している状況でございます。
今後の配信者採用方針など方向性だけでもお示しいただけますでしょうか
回答
新規タレントデビューにおける社内の考え方やその都度のユニット設計なども子細に検討を行って実施させていただいております。現時点では事業戦略上具体的な方策などへの回答は差し控えさせていただきたいと存じます。
大規模な事変の発生時の対応を考えていますか。またタレントの安全を確保し配信活動を再開するまでのサポートを行う体制はありますか
回答
社内において一定の方針を策定しそれに基づいて実施させていただいております。
他社の状況を鑑みると、文化の異なる市場への進出は多大なリスクを伴うことが改めて露呈したが、カバーはこれからもEN展開を拡大していくつもりか。同じ轍を踏まないため事前研究はしているか、また準備している具体的な対策はあるか
回答
グローバル展開においては、各地域にそれぞれの文化や風習があると理解しており、どのような地域であってもそれぞれの文化や風習に留意すべき点があるものと認識しています。これからのグローバル展開については、これまでと比べて社員数が増えたことを始めとした社内体制によってグローバル展開の拡大に対応できるようにしており、所属タレントが安心して活動できる環境や活動領域がグローバルに広がることを両立できるよう十分に留意しながら実施してまいりたいと思います。
動画共有サイト「bilibili」での配信について今後どうしていくのか、また様々な懸念があるがどのように対応しているのか
回答
「bilibili」でのタレント配信やイベント出展を通じたコンテンツ展開は十分な準備のもとで会社主導で実施しており、複数回の配信自体も問題なく実施できているものと考えております。また公式アカウントも当社による一定の管理のもとで世界中にいるファンにコンテンツを届ける一環として中国向けの情報発信をしている状況です。
一部関係者がリークしているのではないかという噂もございましたが、弊社が確認したところでは事実ではないことも含まれておりました。社内からの漏洩ではないものの、情報源については特定したうえで適切に対処している状況でございます。
各種イベントの物販において、在庫の不足や対応の不備で販売が停止されることが散見されております。停止するたびに機会損失が発生していると思われますが、今後改善する計画はありますか
回答
イベントグッズは性質上大きく在庫を積むことが難しく、事前物販によって需要予測も含めて出来る限りご用意している状況でございます。またイベント全般の施策も含めて今後改善できる点は改善していきたいと思います。
VTuberに対する抵抗感を感じている多くの方にどのようにファンになってもらうかについて、どの様なことが課題だと認識されていますか
回答
より偏見なくVTuberというものに触れていただくことが重要という風に考えております。具体的には現状音楽などを中心とした活動により、お客様が「VTuberの音楽」という偏見のない状況で音楽に触れていただくということが可能になっていると考えており、このような音楽だったりマーチャンダイジングだったりYoutube以外のメディアを通じて偏見無い形でお客様にVTuberに接していただくことが重要だという風に考えております。
hololive DEV_ISはマネジメント形態が異なり、プロデューサー主導とのことだが公式チャンネル含めいずれのチャンネルも既存のタレントに比べ伸び悩んでおり成功していると思えない。DEV_ISプロジェクトは失敗していると捉えているが、プロデューサーの責任区分はどうなっているか。プロデューサーにタレントの起用及び契約解除などが可能な権限を持つのか
回答
VTuber企業からIP企業として飛躍を目指すうえで、IPの多様性が重要になると捉えております。ことVTuberにおいては、タレントの現時点のパフォーマンスだけでなく、ポテンシャルも含めて考慮に入れて新たな才能を発掘・育成する必要があると考えております。ホロライブプロダクションの基本的な運営方針に加え、既存の枠ではない新たなグループとしてユニットでの活動に重きをおいた運営を行っていきたいと思っております。
またプロデューサーのみが起用などについて独自の権限を持っているわけではございません。
社会的注目が高まるにつれ、配信者の扱うコンテンツや言動などコンプライアンス対応はより重要と考えています。社として具体的な取り組みが知りたいです
回答
所属タレント向けに情報管理研修を準備しており、既に国内タレントには2回ずつ実施しており、続いてEN、IDタレントにも実施する予定です。また炎上回避のために、情報発信やデビュー前のコンプライアンス研修も実施しております。
ホロアースについて、コンテンツ利用時高スペックPCが必要ですが、正式サービス開始後はスペックが低くなる予定はありますか。またスマホなどからも気軽に利用できる予定はありますか。利用者規模のスケールメリットが大きいほど成功する可能性がありますし、またホロメンなどのIPが参加などソフト面が充実してこそのサービスだと思います
回答
一人でも多くの方に当社サービスに触れていただきたいと考えております。そのためマルチデバイスでのサービス展開は必須だと思っておりますが、現段階はまずPCでの展開に注力しサービスを磨き上げることを予定しております。そのうえで段階的に他のデバイスでの展開も進めていくつもりです。方針については先ほどの事前質問で回答させていただいた通りでございます。
企業などへのサイバー攻撃が相次いでいますが、当社の事業形態上自社へのサイバー攻撃のほか、配信プラットフォームへ攻撃が生じた場合の経営に与える影響は甚大なものになり得ると思われます。このようなサイバー攻撃により事業停止リスクへの対応策を伺いたく存じます
回答
サイバー攻撃を受けにくいシステム構成を維持するとともに、従業員・タレントに向けた継続的な情報セキュリティ研修を行うことで情報インシデントの発生確率を低減させております。情報インシデントが発生した際には社内で定められたインシデントフローに基づいて対応いたします。
演者の情報漏洩で今年1名契約解除になったが、他の演者へのコンプライアンス教育などは対策を行っていますか
回答
所属タレント向けに情報管理研修を準備しており、既に国内タレントには2回ずつ実施しており、続いてEN、IDタレントにも実施する予定です。
演者の方による情報漏洩による契約解除が過去から現在に至るまで定期的に発生している状況かと思います。定期的なメンタルケア、検診や情報漏洩の事例への教育などはすぐ思いつくところですが、御社ではどのような予防の仕組みを導入されているか、あるいは将来的に導入を検討されている施策があればお聞かせください
回答
所属タレント向けに情報管理研修を準備しており、既に国内タレントには2回ずつ実施しており、続いてEN、IDタレントにも実施する予定です。また今後タレントに対して会社が費用を負担したうえでの健康診断手配も行う予定でございます。
タレントの健康管理に関しては、タレントの担当マネージャーが常日頃タレントの健康状態に気を配ったり、配信頻度や時間のモニタリングなどの情報をタレントと共有し健康管理を促すことが出来るような体制構築を行っております。また会社からタレントの健康診断費用を負担し、受診のサポートを行うことで病気や体調不良の早期発見につながる体制の準備を進めてまいります。
誹謗中傷対策について、対処件数や概念は説明されていますが、悪質なまとめサイトや事業・タレントの活動に甚大な影響を及ぼしかねないデマなどは依然として増え続けています。カバー社としても悪質な事案に関しては明確な否定や名指しでの報告を行うことで抑止効果を高めるべきではないでしょうか
回答
展開される情報の内容に応じて社内検討しており、必要があればカウンタープレスを発出するなどの対応を行ってまいります。
取締役を含む経営幹部への女性登用状況、例えば経営幹部の女性比率と今後の見通しを教えてほしい。女性顧客の獲得の観点でマネジメントに女性が一定数必要であると考えており、女性登用に関する御社の考えと今後の意欲がどの程度あるのか教えてほしい
回答
複数の女性従業員を登用しており、女性比率は向上しております。今後もダイバーシティの観点から女性の登用も継続的に検討してまいりたいと思います。
誹謗中傷対策について、今後グローバルに事業を拡大していくうえで海外での誹謗中傷対策はどの様に行っていくのでしょうか
回答
タレントに対する誹謗中傷については当社でも重要な課題と認識しており、対外的に注意喚起を行うとともに、悪質な誹謗中傷に対しては開示請求を行うことで賠償請求を含め厳格に対処しております。海外についても同様に誹謗中傷対策を進めており、誹謗中傷が生じた場合には海外所在の法律事務所と連携することにより対処しております。
須田氏は株式を保有しているようだが、業績や株価に左右されない適切な監督を行うことが出来るのか
回答
社外取締役が株式を保有していることで、株主の皆様と同じ方向を向いて適切な助言・監督などを行うことができるため、株式を保有していることについては特に問題ないものと考えております。
株主総会招集通知が届いてから事前質問締め切りまで非常に短かったため、次回以降の開催には本点を考慮し早めに招集通知を行っていただきたいです
回答
貴重なご意見として承らせていただきたいと存じます。
従業員の平均年収が高くないように見えますが優秀な人材は確保できていますか
回答
社会的な賃上げの機運も背景にある中で、当社においても平均年収を向上させておりますが、今後も適切な人件費水準については検討してまいりたいと思います。
現クリエイターエンジニアまたは退社した者に対しての対応と権限に関して、数週間前にKADOKAWAがハッカーにより自社サーバーを攻撃されました。内部の犯行とのニュースを見ましたが、御社のクリエイターまたはエンジニアは大丈夫でしょうか
回答
従来より各種アカウントの認証強化を進めているほか、退職者及び契約終了者のアカウントは早急に停止しております。
東京証券取引所プライム市場への市場区分変更に向けた準備の進捗状況について教えてください
回答
現状お伝え出来ることがございません。引き続き何か開示できる事項が発生した場合には速やかにお知らせさせていただきたいと存じます。
個人情報の取り扱いについて、他社の個人情報の漏洩について他社製フォームを利用することでの仕様の不透明さや理解不足が招いた事故だと思う。他山の石として、こういったセキュリティ面の監査についてどうお考えかを伺いたい
回答
現状当社においては特に問題ないと確認しております。個人情報についてはプライバシーポリシーに則り適切に取り扱っております。また現在は状況を見極めている状況であり、今後の運用方針については随時検討してまいりたいと存じます。
3月にライブが行われましたが、現在の幕張会場ではキャパシティが不足しているように感じます。より大きな会場の利用、もしくはバーチャルという特性上、日本を問わず世界で複数会場同時開催が出来ると思いますがそのような計画はありますか
回答
今後の開催については未定ではございますが、5th fesでは前年同様幕張メッセでの開催でしたが、fesについては1万5千人から5万6千人動員へと大幅に拡大いたしております。ご意見は様々頂戴しており、同一会場でのキャパシティ増も一定可能と考えておりますが、いただいた意見も参考にしながら今後については議論してまいりたいと存じます。
ReGLOSSは社長より一流のK-POPアイドルになるように名を受けたと記憶しています。本来は韓国で活動を行うことで、一流のK-POP環境で育成できると思うのですが、なぜ日本で活動しているのでしょうか
回答(谷郷氏困惑の後回答)
当社として「ReGLOSSに対してK-POPアイドルになるように」ということを目指している訳ではございませんというところでございます。ただし、今までのホロライブと違ってReGLOSSに関してはユニットで活動していくことによって、よりK-POPアイドルさんだったりとかのようなユニットとして際立たせていく活動を目指している状況ではございます。
そのため現状韓国で活動を行うことは想定しておりませんが、ユニットでしっかりアイドル活動ができるような形が実現できるようにレッスンなどに取り組みを進めていきたいとは考えております。
海外の機関投資家向けのIR活動について、長期に支援してもらうにあたりメリットはどう説明されてますか。また現状の株価動向に関して貴社の評価をご教授ください
回答
基本的にはグロース企業として中長期の拡大方針とその進捗をしっかりと市場に伝えていくことにより、長期時間軸での投資参加者の比率を増やしていくことが株価の安定にとっても重要であると考えております。現状では決算説明資料や成長可能性資料にも記載している通り、VTuber市場は今後も継続的に拡大する中で当社の優位性や新事業のロードマップなどでVTuber事業のポテンシャルをご説明しております。
タレントの活躍がフォーカスされやすい貴社ですが、その背景には数多の優秀な社員さんの力があると存じます。優秀な社員を確保するため取り組んでいること、また経営陣から見てどのような印象をお持ちであるかお伺いしたいと存じます
回答
採用時点における人員の見極めや惹きつけといった採用活動の改善に加えて、従業員のニーズや会社のステージに合わせて人事制度についても継続的に見直しております。
監査等委員会設置会社に移行し、重要な業務執行の委任を行うと思うが具体的にはどの様なメリットがあるのか
回答
重要な業務執行に関する決定を特定の取締役に委任することにより、経営に関して速やかな意思決定が可能になることがメリットとして挙げられると考えております。
御社の成長に伴い、社員数や予算規模が急激に増加しているかと存じます。業務上横領に対する何らかの牽制などの仕組みや対策を講じられているようであればご教授願えませんでしょうか
回答
社内では継続的なコンプライアンス研修を実施しているほか、費用や経費の支払いに対しては適切な稟議承認を前提とするなど仕組みの面でも業務上横領を防いでおります。
タレントスタッフによる持株会は設定しないのか
回答
社内の福利厚生施策の一環として、従業員向けの持株会は2024年度より設定しております。
ソロライブは昨年度3回開催されていますが、今年度はどのくらい開催される予定なのでしょうか。開催頻度についてのお考えをお聞きしたいです
回答
現状は公表している通りの状況であり、今後も一定のペースで開催していくものの、具体的な方針は回答は差し控えさせていただきたいと存じます。開催形式も含めまして、ファンの皆さまの体験価値を最大限にできるよう各種企画を検討・実施してまいりたいと思います。
以前何かの谷郷社長のインタビューでIP自体をAIにすることは考えていないと仰っていたような気がしますが、昨今のAI生成は驚異的な成長をしております。谷郷社長が想定されるAI活用をお聞かせいただけますでしょうか
回答
現状我々多様な地域にVTuberを展開している状況でございまして、例えば言語の同時通訳などの面でAIの活用というのが十分想定され得るのではないかという考えをしております。
ホロライブタレントのグッズなどの株主優待は考えていますか。グッズやライブのチケット優先権などがあれば株主を増やすチャンスと感じます
回答
株主優待としてホロライブプロダクションに関するコンテンツの提供は、10代など若年層のファンも多い中で株主か株主ではないかを区別するような施策は現状考えておりません。
今後もVTuber市場が成長を続けていく中でより多くの人に楽しんでいただけるようにコンテンツ開発に再投資し、多くのファンの皆さんに喜んでいただくことで業績に還元される事業成長にコミットすることが会社の方針であり重要であると考えております。
今後の株主総会をホロアース内で開催する予定はありますでしょうか
回答
今後の株主総会の開催手法について詳細は決まっておりませんが、いただいたご意見も踏まえて検討させていただきたいと存じます。
カバーに対する為替レートの影響を教えてください
回答
保有している外貨残高に応じて、為替差損益勘定が営業外項目としてP/L上影響が発生します。
御社は現状タレント演者キャラクターを基とするIPビジネス企業と感じていますが、時に株主やユーザーの知りえない事由によってIPが失われるといった事案が見られます。安定的な事業継続に支障をきたすと考えていますが、一瞬でIPを失う事態をどう考えているのか
回答
当社ではタレント一人に対する依存度は一番高いタレントでも5%以下となっており、一定の収益分散を図っております。また継続的に活動いただくにあたっては一番重要となるのは会社のサポートであることを理解しております。繰り返しとなりますが、タレントのステージに応じて会社のサポート体制も必要な環境を整える必要があり適切に見極めてまいりたいと存じます。
タレントを育成するにあたり、どういったことを行いどれほどのコストがかかる予定なのかをお聞かせできませんでしょうか
回答
タレントサポートについては先ほどご回答させていただいた通りでございます。コストなどについては戦略上回答を控えさせていただきたいと存じます。引き続きVTuberの魅力を最大限惹き出すように努めてまいりたいと存じております。
最後に
事前質問・当日質問を合わせて約1時間程度、谷郷氏が全て回答しておりました。
バーチャル形式でしたが、リアル開催に近い、どの様な質問が飛び出すのか分からないというような一定の緊張感を感じられる総会となりました。
大変お疲れ様でした。