第1回めの裁判が行われる
傍聴席には被害者がひとり、他に男がふたり。被害者の関係者なのかどうかはよくわからない感じだった。信じられない話だが、弁護士は15分遅刻して現れる。罪状認否が行われ、私は記憶になかった件を除き、ほとんどすべての事実を認めた。そして検察の立証が行われ、次に弁護士による立証が行われるはずだったが、弁護士が、資料に目を通す時間がなかったこと、被告人(つまり私)と打ち合わせができていないことを理由に、弁護士による立証は次回ということになり、日程は◯/◯ということになる。私は、そんなバカなと思い、裁判長に
「反省するのみなので、弁護してもらうことはありません」と言ったが、裁判長には
「立証はした方がいいですよ」と言われる。
まだまだ無知だった私は、早ければその日のうちに判決が下ると思っていた(通常なら2日=2回ということらしい)。そしてRさんの予想通りであれば、執行猶予をもらい、即日釈放されることもあり得ると考えていた。拘置所の正担からも、
「かなりの確率で執行猶予はつくだろう」と聞かされていた。しかし、その期待はもろくも崩れていく。
Iくん宛て
🔗✉️ Iくん宛 📖P.25『2022.8.22~』
KZ宛て
🔗️✉️KZ宛て 📖P. 31『2022.8.22~』
領置金がわずかな中で、切手もろくに買えず、こんな手紙をわざわざ送らなければならないのは、たまったものではなかった。迷惑極まりない。やる気がないのなら、辞めてもらった方がよっぽどありがたかった。しかし残念なことに国選弁護士は、ごく一部の例外を除き、ほとんどは使い物にならないクズばかりだということだった。
弁護士会 市民窓口係宛て
✏️しかし、結局この手紙が送られることはなかった。
🔗️✉️弁護士会 市民窓口係宛て 📖P. 30『2022.8.22~』
裁判所から拘置所に帰る護送車の中から見える景色の中にいる人々を見つけると
「ああ民衆だ。民衆がいる」
と思い、ひたすらフツーの人たちが自転車に乗っていたりするフツーの姿が恋しくて恋しくてたまらなかった。シャバでは人間嫌いだった自分にとってこんな思いは生まれて初めてだった。
🔗💠「シャバに恋して」(📖P.57『2023.3.8~』)
裁判の日程が長引くことには大問題があった。前科Vol.1の罰金の支払いができず、放置しておくと、まずこちらが強制執行されてしまうということだった。私は何が何でもそれを防がなければならないと考えていた。
地方検察庁 罰金課宛て
🔗️地方検察庁 罰金課宛て 🔗📖P.31『2022.8.22~』
しかし、後で判明するのだが、このときすでにこの件は、地方検察庁 支部に引き継がれていたと見られ、この手紙には何の意味もなかったのだ。
🔗️📖P. 43『2023.3.8~』
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