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『三ノ輪の三姉妹』に寄せて④|藤田より

9月8日(日)まで、かるがも団地は
『三ノ輪の三姉妹』という演劇を上演しています。
それに寄せて、劇団員の3人の
創作のきっかけや創作中に考えていることを記していこうと思います。
第四回目は、ふたたび脚本・演出の藤田恭輔が、
自分にとって物語を書くことはどういうことなのか記しました。

三ノ輪の三姉妹に寄せて(脚本・演出:藤田恭輔)

今これを書いているのは9月6日(金)本番もあと3日間4ステに迫った日の朝を迎えています。
エイヤーと幕が上がり、ここまで誰一人欠けることもなく、大事故が起こることもなく、無事に来られていることのなんと幸運なことか。

毎度のことながらキャスト・スタッフさんたちに全方位から沢山フォローいただいて、なんとか生き長らえております。
皆さんの努力の結晶/持ち前の技術/遊び心、劇場で感じとっていただけたら嬉しいです。劇場以外でもね。

感想も続々届いていて嬉しいです。

ネットの海で公に発信するのはなんだかなという方(かくいう私もそういうタイプです。あまりネット上で自分の気持ちは発信できない。胸にしまいがち、か、当人だけにこっそり伝えがち)は、座組のメンバーのみがみられるwebアンケートフォームもございます。

ポジティブな声もそうでない声もどちらも大歓迎ですからね。
是非御寄せいただけますと幸いです。

あと台本がすごく売れているらしくて個人的にはそれも嬉しいです。
製本をことちゃんがエエ感じにしてくれたので是非お手に取ってみてください。

書き上げたはいいものの一抹の不安はずっとありました。
この手の2時間ものの物語というと……もう少し凄惨な過去/トラウマなどを据えるのが脚本の定石だからです。
"離婚"が決して軽いわけではないですが、あまりにもありふれていて平板すぎやしないか?

かと言ってな……別に派手な出来事を起こしたいわけじゃないやろ……な!と、心の向く方角に従って稽古期間を過ごしました。(結果己と座組のみんなの熱を信じてよかった)

家族の話ではありますが、広く"人付き合い・他者との交わり"のことを考えながらつくりました。

私は少年期から(自分中心で世界が回っているとでも思っていたのだろうか)ほんとに利己的で他人への想像力が抜け落ちる瞬間がありまして。幾度も粗相をおかしたり、礼節を欠いてミスを重ねてきました。
「そういう言い方をしたら失礼に値すると、なんで分からないんだ」という主旨のことを過去何度も言われました。猛省。

そんなわけで、少しでも心に余裕をもって、ちゃんと他人に矢印を向けられる人になりたいと思いながら歳を重ねてきました。
そんなわけで、私にとって物語をつくることは、自らの未熟な精神を成長させていく上で、すごく有効だったのです。

私にとって物語をつくることは、自分の複雑にもつれた気持ちを整理することであり、他人の"みえない心"にできる限り接近を試みることであり、たまに思い付きのギャグとおふざけを書きなぐることであり、人がこの世界の中で人と生きていくことを考えることなのです。

考えてもキリがない他人のこと、億劫になる、面倒になる、テキトーに片づけたくなる。
(たまには離れることも正解だけど)それでも、私はできる限りあらゆる他者という存在にちゃんとアンテナを張り、これからも手を伸ばしていきたい。そんなことを思いながら拵えました。

最近は逆にもうちょっとわがままになってと言われます。今日も他人と生きるのは難しい。

予約のびのび中ですが、お席はまだまだございますので、本当に駆け込んでいただきたいです!
配信は基本予定していない上に、このキャストがまた揃う機会というのはなかなか難しいので、まぁどんな演劇でもそうなんですが今が唯一かつ最大級に輝く舞台をみられるチャンスです。

一緒に夏の終わりのひとときを過ごしましょう。宜しくお願いします。

三鷹市芸術文化センターの前に掲出されたポスターを撮る藤田くん。
よかったね。

公演情報

MITAKA “Next” Selection 25th
かるがも団地 第9回本公演
『三ノ輪の三姉妹』
2024年8月31日(土)〜9月8日(日)
三鷹市芸術文化センター 星のホール
作・演出 藤田恭輔

<Introduction>
荒川区三ノ輪。
下町を走る路面電車と、都心を巡る地下鉄の交差点。
古びたアーケード商店街から一本路地を入った所にある家で、 私たちは育ちました。

姉の葉月、私・苑子、妹の茜。
私たちは誠に嚙み合わせの悪い姉妹です。
今更修復するのも面倒な溝を、互いの間に保ったまま大人になりました。

そんな三人をひとりで育てあげ、
どんな時も分け隔てない愛で包んでくれた奔放な母は今、
くたばろうとしています。

生い先そう長くない彼女を前に、
わたしは、
わたしたちは、
これからどこに向かえばよいのか、今更のように考え出すのでした。

家族。
なぜか共に生きてしまった、いちばん近い他人。
寝苦しいひと夏のギクシャク。
張り切ってどうぞ。

<Cast>
冨岡英香(もちもち/マチルダアパルトマン)
中島梓織(いいへんじ)
瀧口さくら

岡本セキユ
柿原寛子
奥山樹生
村上弦(猿博打)
袖山駿
はぎわら水雨子(食む派)

藤田恭輔(かるがも団地)
宮野風紗音(かるがも団地)
古戸森陽乃(かるがも団地)*声の出演

<Time Table>
2024年
8月31日(土) 13:00★【託】/18:00★
9月1日(日) 13:00★
9月2日(月) 休演日
9月3日(火) 19:15
9月4日(水) 14:00
9月5日(木) 19:15
9月6日(金) 19:15
9月7日(土) 13:00/18:00
9月8日(日) 13:00

★・・・早期観劇割引=全券種各300円引き
【託】・・・託児サービス
※対象:公演当日に1歳~未就学。料金:500円。定員:各回10人。
※申込方法:8月17日(土)までに三鷹市芸術文化センター0422-47-5122に申込み。

*受付開始は開演の1時間前、開場は開演の30分前
*上演時間は約110-120分予定

<Ticket>
【券種・料金】
一般|前売:3,000円/当日:3,500円
財団友の会会員|前売:2,700円/当日:3,200円
学生|前売・当日とも2,000円
高校生以下|前売・当日とも1,000円

※全券種日時指定全席自由
※学生・高校生以下チケットは要学生証等提示

【予約開始日時】
7月19日(金)10:00
※財団友の会会員:7月18日(木)10:00

【チケット取扱】
●かるがも団地(corich)
https://ticket.corich.jp/apply/319073/
※各回開演の3時間前まで受付
※当日現金精算

▲三鷹市芸術文化センター
・電話予約0422-47-5122(午前10時~午後7時)
・インターネット予約(要無料会員登録) https://mitaka-art.jp/ticket/

<Place>
三鷹市芸術文化センター 星のホール
〒181-0012 東京都三鷹市上連雀6-12-14

【交通案内】
JR三鷹駅南口
▶2番バスのりばから3つ目「八幡前・芸術文化センター前」下車すぐ。
▶5・6・7番バスのりばから「八幡前」下車1分
▶徒歩約15分

<Staff>
舞台監督:小玉珠成
舞台美術:いとうすずらん
照明:木村奏太(木村屋)
音響:おにぎり海人(かまどキッチン/オドリバ)
演出助手:一嶋琉衣(吉祥寺GORILLA/yhs)
脚本補佐・衣装・宣伝美術:古戸森陽乃(かるがも団地)
小道具:秋林彩(Nichecraft)
宣伝写真:藤田恭輔(かるがも団地)
記録写真:中嶋千歩
記録映像撮影・編集:松本佳樹(世田谷センスマンズ)
制作:宮野風紗音(かるがも団地)
当日運営:月館森(露と枕/盤外双六)

【協力】
もちもち マチルダアパルトマン いいへんじ くらやみダンス 汽水連 ハダカハレンチ ザジ・ズー 企画山 猿博打 (株)大沢事務所 食む派 木村屋 かまどキッチン オドリバ 吉祥寺GORILLA yhs Nichecraft 露と枕 盤外双六

【主催】
(公財)三鷹市スポーツと文化財団

<Attention>
・車椅子でのご観劇をご希望の場合は、あらかじめご予約後にご予約先(劇団/三鷹市芸術文化センター)までご連絡ください。
・聴覚に障害のある方へのご観劇サポートとして、受付にて台本の貸出を行います。ご希望の方は事前に劇団メールアドレス karugamodanchi@gmail.com にご連絡ください。(予約なしでの貸出も可能ですが、数に限りがございます。)

<Contact>
・三鷹市芸術文化センター 0422-47-5122
・かるがも団地 karugamodanchi@gmail.com

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