専門家って?
「専門家」という言葉を辞書で調べてみる。
「ある方面の知識や技術をしっかり身につけている人」とある。(参考:例解新国語辞典第九版 三省堂)
「しっかり身につけている」って、とても曖昧。何を基準にしているのだろう?
技術は分かりやすい。
でも知識となると、特に門外漢の人にとってみれば、その質の高さや量の多さなど分かるはずがない。と思う。
私自身、医師免許と日本小児科学会の専門医資格を持っている。でも、だからって子どものスペシャリストだとは到底思えない。その道を学べば学ぶほど、自分の知らないことがいかに多いかを思い知るからだ。面白いことに、奥深くまで学ぼうとすればするほど、自信がなくなっていくのである。
最近よく食育ネタで雑誌のコラムを頼まれたり、医療系雑誌の記事を寄稿したりする仕事をいただくのだが、まず初めに「私は専門家ではありません。それでも良いですか?」とお断りをするようにしている。
私が信じる専門家とは、
・いつも最新かつ根拠に裏付けされた情報を学び続けている人
・疑問を解決すべく研究に注力している人
・自分と反対の意見にも向き合い、それと比較しながら議論できる人
私はというと、努力はしているが、まだまだ修行が足りない。
免許を持っているからって本当に何かの専門家である人たちは、ごくごく僅かなのである。
「〜の専門家」としてメディアなどに登場する人物が、果たして真の専門家なのか、よ〜〜〜く見極める必要がある。特にそのネタが自分や家族の健康に関する情報であれば、より慎重に。
自分のことを「専門家」だと言う人ほど、「専門家づら」する人ほど怪しい。
特に、企業広告に塗られた雑誌やウェブサイト、個人発信のSNSは危うい。タダ(無料)もしくは企業の息がかかっているのだから。
育児情報も例外ではない。
情報の波に溺れて悩みを深めている親は多いように感じるが、今一度、自分たちが触れる情報の質に注目してみてほしい。
子どもの健康を左右することもあるのだから。