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絵コンテに描き込まないこと(初心者の映画制作講座)

この記事は、「映画/動画が作れるようになるメールマガジン」の過去のものからピックアップしてご紹介しています。

いきなりですが、映画らしい絵というのは、

「陰影をしっかり活かした絵」

じゃないかなと思うんですね。

全体的に明るく、隅々まではっきり目に入る映像もいいけれど、明暗のコントラストが強かったり、シルエットを活かした映像なんかもかっこいい。

分かりやすい例えを出すと、『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランドの目が陰になっている、みたいなことですね。

・・・という話をすると、

じゃあそれを絵コンテに反映するにはどうしたらいいの?という疑問がわいてきます。


『照明の当て方に指定がある場合』もあるでしょう。

例えば、以前の僕の作品のワンシーンで、強い光の中に主人公が吸い込まれていくようなカットがありました。

ここはどうしても外せなかったので、カメラマンと照明さんにも指定通り撮影するよう段取りしてもらいました。

このカットの絵コンテですが、実際に主人公の姿形がシルエットになるようなコンテを描きました。
同時に、絵コンテの空いたスペースに「主人公を逆光で撮る」とメモも付けました。

僕はずっと、絵コンテは描く方がいい、というスタンスを貫いていますが、ここ数年、自分の描く絵コンテに変化が出てきています。

それは、
意図的に描き込まない要素もある
ということです。


●役者の表情は描かない

一時期は絵コンテの役者の表情までしっかり描き込んでいましたが、止めました。
シナリオを読んだ役者が感じ取ったものを知りたい、と思ったからです。

悲しいシーンに悲しい顔をするのもいいけれど、ほほ笑むことでより悲しさが伝わる、なんて演技もあるかもしれません。

そんな余地を残したい。

●陰影は指定しない

これは、冒頭の話につながります。

よほど指定がある場合は別ですが、配置や動きまでは指定しておいて、あとは何も描かない。

メモ書きとしてカットの意味を書くといいでしょう。
表現したい感情を、文字で書き込む。

それを元に、カメラマンや照明さんと一緒に、意見交換を楽しむのです。

●分からないことは描かない

例えば登場人物の衣類。
スカートだとか、スーツだとか、つい描いてしまいそうになりますが、ここは決めない。
衣装さんや役者さんと一緒に作り上げていく方が楽しいところです。

それから髪型や小道具、部屋の中の配置なんかも同じですね。


近年の僕の絵コンテは、数年前に比べるとさっぱりしてきています。
これが正しい、というわけではありません。

いろんな役職のスタッフと、会話をしながら映像を作り上げていく余裕が生まれただけかもしれません。


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