自主映画的オーディション術(初心者の映画制作講座)
もう何年も前の話です。
自分の映画のための役者オーディション会場で、
僕の目の前に、ギターケースを持った男性が座りました。
「まず、簡単に自己紹介をお願いします。」
僕が口を開くと、彼は言いました。
「てゆうか、それよりもまず、歌を聞いてくれませんか?」
彼は持参したギターをつま弾き始めました。
さすが長年ライブをやってるだけあって、すごく素敵な歌声です。
でも僕の中で、0.1秒で結果は出ていました。
役者は、監督の言うことをどこまで聞いて表現できるか、が仕事です。
言うことに従ってくれない役者は、どんなすごい人でも、御免です。
さらに時代をさかのぼり、
僕が大学3年生で、就職活動中の時のことです。
僕は当時会っていた年上のOLに、
いかに自分がいろんなことができるか、を語っていました。
すると彼女は言いました。
「面接ってね、すごい人を採りたいんじゃないんだよね。
会社にとって都合のいい人間を採りたいんだよね。」
これは、僕の人生を変えたアドバイスの一つです。
2つのエピソードを書きました。
みなさんはどう感じたでしょうか。
僕は役者さんと初めて会う時、いくつかの質問をします。
セリフを読んでもらった後も質問します。
これは「正解」を求めているからではありません。
僕の指示に応えてくれるか人か?
笑いどころが一緒か?
作品に対する価値観は近いか?
映画づくりに対する気持ちは共感できるか?
なぜ映画に興味をあって、そして今後どうしたいか?
こういった、「僕との相性」を探っているんです。
僕は質問すると同時に、質問した内容すべてに対する僕の考えも話します。
それを聞いた役者さんの反応も見たいし、お互いの考え、体験を交換したい。
ちなみに、スタッフ集めの時も、まったく同じことをします。
結局、言い方は悪いですが、有象無象が集まるオーディションという形を僕は好みません。
その中からいい人が見つかる可能性より、日頃から会って話している人の方がいいに決まっているのです。
あなたが、大きな事務所などをバックに、大がかりな映画を制作するのであれば、オーディションもいいでしょう。
いや、必要かもしれません。
しかし個人制作で、ほんの数人の役者さんを探すのであれば、
SNSなどで募集するようなやり方は、時間のロスが大きい気がします。
日頃から役者のネットワークを作っておくこと。
もしくは、役者の友だちを作っておくこと。
これが王道です。
最後にもう一つエピソードを。
僕の知り合いに、合コンが大好きな人がいます。
彼は、違う相手と頻繁に合コンをしています。
どうやってそれだけの人を集めるか。
彼は合コンに参加する度に、特に異性として興味がなかった子でも、知り合った女の子とはすべて仲良くなり、友だちを紹介してもらうのだそうです。
いろんな出会いの場を絶対ひとつも無駄にしない。
彼はそう豪語しています。
役者探しを合コンと一緒にするのは、お叱りを受けそうですが、でも、彼のやり方は、僕の役者のネットワークの作り方と通ずるものがありますね。
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