クランクアップの感動の味わい方(初心者の映画制作講座)
全員が、あなたを見ています。
あなたは、映像をモニターで確認します。
どうやら、問題なく撮れているようです。
さっきまでは、問題無ければすぐに「OKです」と答えてた。
でも、このカットは違う。
なぜなら、これまで2ヶ月間にも渡って撮影が続いてきて、
それが今、終わろうとしている・・。
念のために手元の絵コンテをパラパラめくって確認します。
あなたは、役者・スタッフを見渡して、
そして、にんまり笑って、
「終わりました!」と高らかに宣言する。
わーーー!!とみんな拍手。
・・・クランクアップ、つまり撮影終了の瞬間。
もうね、これは監督だけの特権です。
この瞬間のためにやってる、くらいの悦びがここにあります。
今回は、このクランクアップについていくつかお話ししたいと思います。
■クランクアップの日に、クライマックスを持ってくる
これはいい悪いではないのですが、
普通に撮影をコツコツこなしていると、大変な撮影から終わらせていくことが多い。
つまり、撮影が進むに従って、じわじわと簡単な、役者も多くない撮影になっていきます。
そして最後は、一番出演の少ない端役の役者と数人で、クランクアップ、なんてことになるのです。
昔の僕がそうでした。
なんかこう、クランクアップが、寂しい。
クランクアップって、もっと派手にやらないと、なんか終わった感じがしない!
そう思った僕は、いつからか、一番盛り上がるシーンの撮影を最終日に持ってくるスケジュールを組むようになりました。
一番人が多いシーンですね。
すると、なんか、終わった!という満足感が味わえるのです。
当然、出演しなくても、主役を招待します。
■終わった後、打ち上げの準備をしておく
スタッフにどれだけお酒が好きな人がいるのか、ということにも関係しますが、クランクアップの後はやはり、打ち上げをするといいでしょう。
大勢で飲みに行くのって、なかなか簡単ではありません。
撮影が終わりに近づくと、制作担当を近くのお店に走らせるのです。
同時に、皆の多くの荷物、機材をどうするか、それらを誰が運ぶか、など段取りが必要になります。
以上、
個人的なことと思われたかもしれませんが、これらは決して、自分のためだけではないんです。
長い長い準備と、辛く困難だった撮影にずっとついてきてくれた仲間への
ささやかなお返しのつもりなんですね。
これ、ホント。
最後に、もう一つクランクアップについて大事なことを書きます。
■クランクアップの後は、監督はしばらく呆ける
準備や撮影は、もうそれこそ、あれもこれもという障害のオンパレード。
それらから逃げ切った!という瞬間がクランクアップなのです。
映画制作という過程の、ピークとも言える。
ここから先は、時間の使い方は自由です。
障害もあまりありません。
すると、どうしても気が緩んでしまう。
危険です。
その後、完成までが長引くことも多いのが自主映画です。
数週間延びる、なんてもんじゃありません。
年単位になることもざらにあります。
だからこそ、クランクアップの日に、すべて清算しておくべきなんですね。
荷物の貸し借りだったり、お金のやり取りだったり。
これらも制作担当に事前に伝えて、最終日までに終わらせておくのがベストです。
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