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撮影当日の朝の光景(初心者の映画制作講座)

この記事は、「映画/動画が作れるようになるメールマガジン」の過去のものからピックアップしてご紹介しています。

いよいよ撮影の初日

あなたは電車を降ります。
空はすがすがしく澄んでいて、大きく息を吸い込みます。

うれしくもあり、不安もあり。
待ち合わせ場所の改札まで、普段よりもずっと早足で歩きます。

両手にも背中にも機材がいっぱいで、身体中が重い。
でも、足は軽やかです。

スマホが震えます。
荷物を持ち直して、携帯を確認。

メールです。
おや、何通も来てる・・・

「電車が遅延してて、待ち合わせ時間に15分ほど遅れそうです。」

「着いてるんですが、西口と東口、どっちでしたっけ??」

「早く着いちゃったので喫茶店にいます。集まったら呼び出してください。」

あなたはいくつもメールに返信しながら、ようやく改札に到着しました。

ずっと準備をしてきた仲間の顔が目に入ります。
なんだかむずがゆい。でも、うれしい。

一番近い人から声をかけて行きます。

「今日はよろしくね!」
「お疲れー!」
「ありがとね!」

・・・そこで気付きます。

テンションが高いのが自分だけであることに。


待っている仲間たちは、みんな静かに、じっとこちらを見つめています。

そう。

彼らはお互いに顔を知らなかったり、
まだ一度しか会ったことが無かったりして、
どうにも雰囲気が白々しいのです。


そもそも、みんな改札にいる誰が映画のスタッフなのかも分からない。
慌てて、近い人同士を紹介していきます。

「こいつ、大学ん時の友だちね。」

「この子、前の作品の時にね、メイクで来てくれて・・・」

もっとしっかり紹介したいけれど、時間が足らない。
無表情にスマホをいじっている他のスタッフが目に入る。

とにかく必死に紹介していると、またスマホが震えます。
今度は電話です。

「今着きました!どこにいますか??」

場所を電話で話していると、向こうから見慣れた顔の集団がやってきます。

集合時間を30分遅らせていた役者さんたちです。
彼らは時間に正確です。だから、一気にやってくる。

あなたは、彼らに笑顔で手を振ります。
またテンションが上がります。

女性もいて、場が一気に華やかになります。
役者さん同士は顔合わせが済んでいるので、ワイワイガヤガヤ。

「監督〜!おはようございます!!」

話しかけられるもんだから、こちらも「今日はよろしくねー!」と返す。

何度も何度も打ち合わせを繰り返してきた仲なので、思い入れも強い。
話したいことも山のようにある。

ふと腕時計をチラッと見ます。

うわ、もうこんな時間だ・・

ほんとは、役者が来るまでの30分間で、スタッフ同士で今日の段取り確認をするはずだった。

でも、全然できてない。

・・・仕方ない・・・

「皆さん、ついてきてください!」
あなたは先頭に立って、大きな機材をいくつも担いで歩き始めます。

そこで突然、思い出すのです。

早く来て、喫茶店で待ってるスタッフのことを・・・

<教訓>
監督は、あれもこれも一人でやってはならない。


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