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余市蒸溜所の思い出

 みなさんはニッカウヰスキーをご存知でしょうか?ニッカウヰスキーは知らなくとも、ブラックニッカという名前は聞いたことのある人は多くいらっしゃると思います。過去には朝ドラの「マッサン」で創業者の竹鶴政孝が取り上げられたこともあり、その中では竹鶴が洋酒文化のなかった日本でいかにして本格的なウイスキー造りを成功させるに至ったかが描かれています。その竹鶴が立ち上げたニッカウヰスキーは、ジャパニーズウイスキーの生みの親とも言える、国産ウイスキーのパイオニア的ブランドなのです。
 ニッカウヰスキーは製造場である蒸溜所を2つ保有しており、一つは宮城県にある宮城峡蒸溜所、そしてもう一つが今回私が訪れた北海道の余市蒸溜所です。私は過去に宮城峡蒸溜所を訪れたことがあり、その時に試飲で頂いたシングルモルト余市の味が強烈に印象に残っており、いつか余市蒸溜所にも行ってみたいと考えていました。そんな折にさっぽろ雪まつりに行く予定ができ、渡りに船といった形で余市蒸溜所を訪れる機会を得たのでした。

外観

 

赤い屋根と白い雪のコントラストが綺麗

余市蒸溜所はJR余市駅から徒歩5分以内と非常に近いところに位置しています。そのため駅から歩き始めてすぐ余市蒸溜所の赤い屋根が見えてきます

ウイスキーの原料となる麦を乾燥させる施設(現在は使われていないそう)
土地を買ったときに地主から譲り受けたという通称リタハウス。後に研究室として利用され、スーパーニッカを生み出したのだとか
見渡す限り赤い三角屋根が続く

この日は若干雪が降っていましたが、朝一番の見学会にも十名強の人が集まっていました。

ウイスキー原酒の眠る貯蔵庫
雪まつりの別会場かな?

余市蒸溜所の見学ツアーは、一言で言えばライブ感強めという感じでした。といいますのも、見学ツアーの行動範囲はそこまで広くはなく、実際に稼働しているところを職員の方々の邪魔にならない範囲で見せていただいているといった印象を受けました。酒造見学やブルワリー見学などでも、過去に使われていたものや資料は見せてもらえても実際に稼働しているところはなかなか見ることができないといったことがしばしばありますが、余市蒸溜所ではまさに今ウイスキー造りが目の前で行われているという貴重な場面を見学することができました。

実際に稼働しているところでしか見れない火付けの作業
使われなくなったウイスキー樽は貴重な燃料になるそう
立ち並ぶポットスチル群

試飲

見学ツアーが終わると参加者には試飲のセットが配られます。

無料の見学会でもらっていい量ではない

余市蒸溜所で作られたシングルモルト余市とスーパニッカ、アップルワインのセットです。余市の特徴はなんといってもガツンと鼻を抜けるピート臭で、ジャパニーズの飲みやすさとスコッチのクセの強さが同居しているような味わいです。スコットランドでウイスキーの製法を学んだ竹鶴が、日本で本場の味を再現しようとした当時が思い返されるようでした。

さて、この試飲セットは見学ツアーの最後にいただけるものですが、余市蒸溜所にはその他にも有料の試飲バーが存在します。

試飲と言いつつそのへんのバーよりも立派な設備

こちらではニッカウヰスキーが販売している商品や、少量のため市場に出せない貴重なウイスキーなどをいただくことができます。

試飲の意味を問いたくなるほどしっかり注いでいただけます

今回私はブレンデッドのフロム・ザ・バレル、竹鶴ピュアモルト、シングルカスクの余市を頂きました。特に右のシングルカスク余市はなかなかお目にかかれない貴重な一本で、シングルカスク故に開けた瓶によってアルコール度数が変わるというとてもめずらしい体験をしました。

バー中央のポットスチルとともに

バーの奥にはニッカウヰスキーと竹鶴に関する資料館となっており、ファンなら一度は見てみたい貴重な資料や興味深いエピソードを数多く知ることができました。

若き竹鶴政孝
ニッカウイスキーが過去販売した商品達

 美味いウイスキーとその原酒たちに囲まれて、日本のウイスキーの歴史に思いを馳せる事のできる非常に有意義な訪問となりました。ウイスキー好きの方、特にニッカウヰスキーのファンである方は、ぜひ一度訪れて見てはいかがでしょうか。

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