常に移動しようとする何かの表れ

今日も寝る前に書いてみる。

仕事のストレスや日々のあれこれで
音楽を聞きながらパソコンで好きなことをする、というのが
自分の好きなアクションであったのを、すっかり忘れていた。

私は20代の前半、引きこもりをしていた。
勉強用に手に入れた分厚いノートパソコンにひたすら向かっていた。
サブカルチャーどっぷり、昼と夜は逆さまになっていた。
今聞く音楽は、随分と明るく穏やかになったけれど
会社員をやっているけれど、あの日々が私の芯にはずっとある。
好きな音楽を聞きながら、ぼーっとネットサーフィンをしていると
安心を感じるようだ。再発見したことである。

今日はエド・シーランのライブに行ってきたのだった。
金曜日、私は散々な気持ちだった。
恋人とうまくいかず、会社でもうまくいかず
何もかも辞めてしまいたかった。

くたびれ果てて家に帰り脱力しているときに、
「エド・シーランは今年来日するのだろうか?」と思ったのだった。
これまで彼のライブに行ったことはない。のに、なぜかそう思った。
調べてみたらなんと明日と明後日ではないか…
ダメ元でチケットを探してみたら全然余裕がある。なんということ。

エド・シーランの中でも「Perfect」という曲が好きで
この世にこんなロマンチックな曲があるのか、と思ったのだった。
普段ラブソングは好んで聞かないけど、あまりにも優しくて真っ直ぐで
私は一耳惚れをしてしまった。それ以来、よく聞いていた。

昨年は特に、心身疲れ切っていて日本語の歌詞の音楽は
どれもしんどく感じていたというのもある。エドさんはヘビロテだった。

ライブは本当に素晴らしかった。
ルーパーというのだろうか、1フレーズ録音して
その場で重ね録りしていく形で、今夜だけの音を作っていく。
ドームが、たった一人の奏でる音で埋まっていく。
私は音楽ライブにはしょっちゅう行くのだが、初めての体験。

大好きなPerfectに至っては、3秒で爆泣きである。
私は普段あまり感情表現が豊かでないのだけれど
ライブ空間でのみ、大声で泣いたりできるのだ。
今日の涙が何だったのか、わからないけれど、
いっぱいになっていたコップの水を少しこぼせた気がした。
エドさんありがとう。

素晴らしいライブにも関わらず、いろんなことが思い浮かぶ。
悩んでいる仕事のこと・恋人のこと・嫌だったこと。
その一方で川上未映子先生のこんなツイートも思い出していた。

目の前で一瞬も逃したくないような素晴らしいことが起きていても、いつでも、全く関係のないことについて考えてしまう。それも何度も。でもこれはただの気散じじゃなくて、常に移動しようとする何かの表れで、すごいいい作用だと思ってる

https://x.com/mieko_kawakami/status/1641981431168798720?s=20

それは、それがどんなに美しいものでも、つらいものでも、完全に支配される/され続けることはない、ということでもある。圧倒的に直面している何かにたいして、それを相対化する、あるいは回避する、あるいは無化する、あるいはそれと融合するような、必ずべつの回路があるのだということ

https://x.com/mieko_kawakami/status/1641984232359858178?s=20

大好きな川上先生によると、すごいいい作用。
すごいいい。すごいいい。すごいいい。3回唱えて、今日は寝る。

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