対人恐怖症ってどんなもの?
皆さんは「対人恐怖症」をご存知ですか?
深い意味はわからなくても、一度は聞いたことのある言葉だと思います。
なんとなく、
他人と話せない
人前を怖がる
という認識なのではないでしょうか。
その認識は間違いではありませんが、100%正解でもないのです。
対人恐怖症ってなに?
対人恐怖症は、周りから自分がどう見られているのかを必要以上に気にしてしまい、人前で話したり人が集まる場所を避け続けてしまい、日常生活に支障が出ている状態のことです。
対人恐怖症と社会不安障害
実は対人恐怖症は正式な疾患名ではありません。
「対人恐怖症」という言葉は、疾患の内容がわかりやすくて言葉だけが独り歩きしていますが、対人恐怖症は不安障害の一つである「社会不安障害」の中に含まれる症状とされています。
ですが、対人恐怖症と社会不安障害の位置づけは医師によって考え方が異なり、統一した見解は無いのが現状です。
この2つの差は、
対人恐怖症:「自分が他人を不快にさせていないか」についての不安
社会不安障害:他人に注目される場面で、恥ずかしい思いをすることへの不安
とされていますが、今後の医療の転回で変わる可能性もあるかもしれません。
対人恐怖症の症状
対人恐怖症の症状は、精神的なものと身体的なものの2つに分かれます。
精神的な症状
人前で何かをしたり、他人との交流に強い恐怖や不安を感じる。
また、自分の不安を周りに悟られることも怖がることが多い。
身体的な症状
不安や恐怖を感じると、手足や声が震え、動悸、発汗、赤面、腹部に不快感が出たり、息苦しさを感じることもある。
これらの症状はリラックスをもたらす副交感神経とは逆の、交感神経が優位になった場合に現れる。
対人恐怖症の原因
対人恐怖症の原因は、明確にはわかっていません。
一説として、脳の扁桃体の異常があります。
人間が危機を感じた時に扁桃体が交感神経を優位になるように指令を出しますが、不安障害を持つ人たちはこの扁桃体が過剰に活動することで起こると言われています。
そしてその場が過ぎても似たような状況に出くわすと不安や緊張を感じ、発作を繰り返すようになります。
対人恐怖症は治るもの?
精神的な障害であるうつ病の治療は、何より心身を休めることが大切です。
それは仕事や学校など、ストレスから離れることが何よりの対策だからです。
ですが、対人恐怖症は放置しても治る可能性はとても低くなります。
社会から離れても、扁桃体や海馬に失敗した経験や「次も失敗するかも」という記憶は残るので、不安や緊張の原因を回避するようになるだけで、改善につながることは難しいのです。
ですが、対人恐怖症は治療が可能な疾患です。
放置することが向かないだけで、正しい治療を行えば症状は改善します。
対人恐怖症の治療
対人恐怖症の治療は、精神神経科や心療内科で受けることが出来ます。
この2つは、
精神神経科は精神的な病気を扱う診療科
心療内科は精神の問題が体に異常をもたらしている場合の治療を行う
という違いがあります。
ですが、対人恐怖症の場合は精神的な症状と身体的な症状が両方とも現れることが大半なので、どちらの診療科でも治療が受けられるのです。
また、いきなり病院には行き辛い、という場合は、公共機関に相談するのも一つの方法です。
精神保健福祉センターは心の不調や精神疾患の病気について相談を受け付けています。
対人恐怖症の治療 精神療法
対人恐怖症の治療方法は「精神療法」と「薬物療法」の2つがあります。そのうちの精神療法で代表的な治療方法が「認知行動療法」です。
対人恐怖症の人は、物事に対して否定的な意見を持ちがちです。
認知行動療法は不安や緊張の原因になっている否定的な認知を聞き、客観的な見方を教えることでその認識を変えていきます。
そして見方を変えながら、今まで回避していたことを別のパターンで定着させていく方法です。
対人恐怖症の治療 薬物療法
薬物療法は、主に3種類の薬を使用します。
抗うつ薬
うつ病の人に処方される抗うつ薬(SSRI)は、社会不安障害の治療にも多く使われる薬です。
脳内物質のセロトニンは安心や鎮静の情報を伝える物質で、抗うつ薬はセロトニンの濃度を高めることで不安や恐怖を抑えます。
ただし、抗うつ薬は効果が出るまでに時間がかかるので、長期的に服薬する必要があります。
抗うつ薬を服薬している時に「不安や緊張を感じなかった」という経験を繰り返すことで、少しずつ対人恐怖症を改善していきます。
抗不安薬
抗不安薬は脳の神経に作用し、不安や緊張を和らげます。
即効性がありますがその効果は一時的で、あらかじめ不安が予想される場合に対策として使います。
長期で使用すると依存性が現れる可能性があるので、事前の対策として補助的に使われる薬です。
β遮断薬
β遮断薬は正式には「交感神経β受容体遮断薬」と呼ばれる薬です。
交感神経に作用することで、動悸や震えなどの身体的な症状を抑えます。
このβ遮断薬も効果は一時的な物なので、あらかじめ不安が予想される時に使われます。
また、β遮断薬は不安や緊張など精神的な症状を抑えることはできません。
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