新曲「仔象の夢」と「ハンコ」の話
トップの絵はnote内で借りてきたものです。
2020年4月18日にニコニコ動画に投稿した、拙作「仔象の夢」について話をいたします。動画はこちらをどうぞ。
Youtubeにも19日未明に投稿いたしました。
ここで、歌詞を掲載いたします。引用元はピアプロからです。
https://piapro.jp/t/Z8Qs
象の夢 ぼくは象の夢見てた
母さんと仲間と歩いて
優しい目をして 大きくて 強くて
きれいな 白い牙が 生えていたんだ
鋭い眼つきのネコちゃんと
ジリジリと光が突き刺さる
大地で 身体 熱をおび しんどくても
そよそよとあおぐ 大きなうちわが好き
だけど母さん 気づけば眠りについて
じっと動かない 静かで
まだ 明るいこの野原の中
早く行こうよ 置いていっちゃうよ…?
僕の夢それは大きな夢だった
たくさんの仲間たちを率いる夢を
だけどいまはもう一度だけでいいから
優しい母さんと語らいあいたいのに
優しい目をして 大きくて 強くて
きれいな 白い牙が 生えていたんだ
目が醒めて 街の銀行にママと
大事そうに白いハンコを
ポンと押したその顔は安らいで
僕は言いたそうに微笑み 噤んだ
僕の夢それは大きな夢だった
たくさんの仲間たちと率いて
仔象の夢は文字通り、「夢」について歌った歌です。
アフリカやインドなど太陽のきつい土地で暮らす象のこと、開けたサバンナとかが広がってそこで暮らす光景が浮かぶのではないでしょうか。
でも私が見てほしいところはそこ以上に、ハンコに対する穿った見方をした歌詞なのです。
それを証拠に、もう一度聞いていただければ分かりますが、ハンコを供述しているところだけ、リードボーカルの鏡音リンではなくMEIKOが歌っております。3:45以降をお聞きください。
MEIKOの歌唱パートの歌詞をもう一度抜粋します。
目が醒めて 街の銀行にママと
大事そうに白いハンコを
ポンと押したその顔は安らいで
僕は言いたそうに微笑み 噤んだ
このパート、リンが歌っている他のパートと比べて明らかに日常感が強いとお思いではないでしょうか。
目が覚めるまで、主人公は眠りの中、象になって、「母さん」と群れで暮らしていました。
でも、目が覚めたら「ママ」と銀行へ行く光景。
そこで「ママ」は白いハンコを取り出す。
白いハンコ、安物のプラスチックのハンコもありましょうが、わざわざ銀行に持って行くのなら、所有している中でもいいものを持って行きたい気持ちはあるものです。
それが何か。一例としてあげられるのが、象牙のハンコです(今回は趣旨の都合上、水牛等はあえて話題に触れないものとします)。
象牙の取引とかについては専門家ではないので、ここで詳しいことは述べませんが、すくなくとも象牙の採取についてネットで調べたいならば、ちょっとは覚悟してほしいですね。
この記事にもありますが、密猟は減ってはいるものの途絶えてない。
リンが歌っている一番のサビの歌詞も、そのつもりで書きました。
だけど母さん 気づけば眠りについて
じっと動かない 静かで
まだ 明るいこの野原の中
早く行こうよ 置いていっちゃうよ…?
象牙のハンコを使ったことがほとんどないのでなんともいえないですが、押す力の割に印影がきれいらしいですね。そのせいか「ママ」の表情も安らいでる。
夢の中で、何らかの理由で眠ってしまった「母さん」をみて、その後現実で白いハンコを押して安らいだ表情の「ママ」をみたら、「僕」はなんともいえない気持ちになるよ。私が「僕」だったらそう思う。
そこまで動物愛護に熱心ではないし、鯨に至ってはたまに食したくなる私ですけど、そんな日頃思っていることをこの歌の詞に込めました。
不必要な外出を避けるべき直近で、我が国のIT担当大臣がハンコのために出社することに対して、以下の記事のように他人事のように宣っていた件があったのはご存じかと思います。
ハンコのために、象への淘汰圧が増大している時代は完全に終わったとでも思ってるのかは知らないですが、旧来のハンコ職人・商業だけを、そのままの状態で守旧するのにあまりに必死で、見てていたたまれなくなります。「さっさと閣僚から下ろしていただいたら、この人幸せなのに」なんて裏腹な気持ちで感じてるほど。
ハンコのために外出して、病気にかかったら、どう落とし前つけられるのか。
視点こそ違いますが、ハンコに対するアンチテーゼという意味でも、今回の歌詞をしたためさせていただきました。
さぁ、もう深夜3時。寝よう。象とともに旅をする夢とか見てみたいなぁ。