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播磨陰陽師の独り言・第431「正月事納め」

 正月八日は正月飾りを終える日です。これを〈正月事納め〉と呼びます。この日は、門松や注連飾りを外し、正月の雰囲気ともおさらばします。まだ松の内ではありますが、正月気分もひと区切り。
 外した注連飾りは十四日に神社などで焼きます。これを〈どんど焼き〉と呼びます。どんどん焼くのでこう言う呼び方をすると言う説もあります。
 正式には〈左義長さぎちょう〉と言います。かなり大きな焚き火となるので、子供の頃は冬の楽しみのひとつでした。焼いた火で炙った餅を食べて無病息災を願うとも言います。
 左義長の言われは、

——漢の明帝の頃、天竺より漢の国に仏法が伝わると、道教道士は仏教に対抗心を燃やしていた。
 道士たちが仏法を破ろうと祈った時、そのしるしを見ようと経文を左に置き、道教の書を右に置いて火をかけた。すると、道教の書のみが焼失してしまった。
 それを見ていた人々が、
「左の義、ちょうぜり」
 と口々に囁いた。この事件により〈左義長〉と呼ばれるようになった。

 と言います。
 これがわが国に伝わった時、お正月の注連飾りなどを焼く行事のことに変わりました。当初は、願いごとや一年の計を書いた書き初めを燃やしていましたが、注連飾りを燃やすようになって今の〈左義長〉となった訳です。
 この儀式、漢字では〈三毬杖さぎちょう〉とも書きます。毬打ぎっちょうを三つ立てたからとも言います。
 辞書によると、

——宮中では正月十五日と十八日に吉書きっしょを焼く儀式。清涼殿の東庭で、青竹を束ね立て、毬打三個を結び、これに扇子・短冊・吉書などを添え、謡いはやしつつ焼いた。
 民間では正月十四日の夜または十五日の朝(九州では六~七日)長い竹数本を円錐形などに組み立て、正月の門松・七五三飾り・書ぞめなどを持ち寄って焼く。その火で焼いた餅を食えば、年中の病を除くと言う。

 とあります。
 最近は注連飾りにもプラスチックが多用されていて、左義長で焼くことを禁止されている場合もあり、世の中は窮屈きゅうくつになったものだなと思いました。

 今夜も九時からクラブハウスで音声配信と質問コーナーがあります。
 次回のクラブハウスの配信は一月九日夜九時「十日恵比寿のこと」です。朗読とそれに続く質問コーナーは『陰陽師の嫁/W&M Club』で聞くことが出来ます。もちろん参加して質問することも出来ます。お楽しみに……。

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