播磨陰陽師の独り言・第三百五十九話「妙な味の食べ物」
体調が悪くなると、幼い頃に食べたような味を求めてしまいます。
時代が時代だからか、あるいはわが家に限ってのことか? 幼い頃に食べていた味は、かなり妙な食べ物ばかりでした。
たとえば、マヨネーズをかけたスパゲティとか、コーヒー牛乳に浸したトーストとか、今にして思えば奇妙な物ばかりだった気がします。
子供の頃にスパゲティと言えば、何も入っていない麺にマヨネーズをかけたものを食べていました。ミートスパゲティなど見たこともなく、〈パスタ〉と言う呼び方もなかった気がします。あまり美味しい食べ物ではありませんが、なぜか体調が悪くなると食べたくなります。
コーヒー牛乳に浸したトーストの方は、食べたくてもありません。と言うのは、コーヒー牛乳は〈よつば〉の物にかぎるからです。なぜかは知りませんが、よつばのコーヒー牛乳だけは本州や九州では手に入りません。他の物で何度か試しましたが、味は再現出来ませんでした。
手に入らない食べ物と言えば、帯広でしか売ってなかったトーストがあります。これは普通の薄いトーストの真ん中に四角い穴があり、穴の中にカステラがはめてある菓子パンです。子供の頃は大好きなお菓子のひとつでした。他の地域では見たこともありません。
そう言えば、〈きびだんご〉も北海道独特のお菓子です。他の地域で売っている物とは明らかに違っています。これも体調が悪くなると無性に食べたくなります。
ホンコン焼きそばも食べたくなる物のひとつです。ほとんどはネットで買えるので、興味のある方は調べてみてください。
何て名前なのかなぁ、豆腐を炒めて卵をかけた物も食べていました。
それと一緒に思い出すのがお稲荷さんです。少し体調が悪い時は、必ずお稲荷さんを食べます。すると元気になれるのです。これらも子供の頃に食べていた懐かしい食べ物です。
食べ物にしても、音楽にしても、五感に良い刺激を与えることで、体調も良い方向へ変化します。要は心のあり方なのかも知れません。
入院していた時、看護師さんと話したことがあります。それによると、
「同じ患者さんでも、はやく治る人と、なかなか治らない人がいるのよねぇ」
「何が違いますか?」
「心が元気な人は治りもはやいし、文句ばかり言う人は、なかなか治らないわ」
とのこと。
心が元気になるには、様々な方法があると思います。ここで書いたやり方も、そのひとつかも……。
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