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播磨陰陽師の独り言・第百四十一話「頑張る人々」

 世の中には、よく頑張っている人がいます。厳しいようですが、頑張ることに意味はありません。頑張らないで下さい。
 この〈頑張る〉と言う言葉を辞書で引くと、

 ① わが意を張り通す。
 ② どこまでも忍耐して努力する。
 ③ ある場所を占めて動かない。

 の三つの意味が出て来ます。
 多くの場合、頑張ることがまるで美徳であるかのように誤解されています。しかし、頑張るとは、わが意を張り通すことなのです。
 自分が自分がと言って、
「一生懸命、頑張っています」
 と主張しても、結果が伴わなければ何の意味もありません。それならば頑張らずに結果を出せるように戦略を立てれば良いことになります。
 われわれ日本人は、いったい、いつから頑張って来たのでしょうか?
 少なくとも江戸時代には頑張る人はいませんでした。明治時代に入ってからチラホラ頑張る人が現れました。そして、しばらくして、頑張らない人を馬鹿にするような風潮が生まれ、第二次世界大戦の頃になると無意味に頑張ることを強制する時代になるのです。戦争が終わってからも頑張る風潮は続きます。
「負けたのは頑張らなかったからだ」
 とでも言わんばかりに、頑張ることが美徳とされてゆきます。しかし、どの頑張りも、結果が出せなかった場合の言い訳に聞こえます。その過ちを新しい世代にも強制し続けているのです。
「頑張らなければ世の中は生きてゆけない」
 と……。しかし、世界の多くの人々は日本人ほど頑張っていません。頑張っていない割には日本人よりもお金持ちで、多くの休暇があり、日本に観光に来ています。もちろん、彼ら外国の人々が過労死したとかもあまり聞いたことはありません。
 突然死は、東南アジア諸国を中心に増えているようですが、こちらは理由が違います。
 また、一部の国で過労死のようなことが起こりはじめているそうですが、こちらの理由は明確です。日本企業が進出している国で起こるのです。
 過労死までも輸出してしまうような遅れた感覚を、努力ではなく戦略で解決するのはいつのことなのでしょうか?
 ちなみに、ただ無闇に集まって、反対、反対と唱える人々も、戦略ではなく、
「頑張ってやっているのだから」
 と考える感性の持ち主だと思います。もう少し頭を使えば良いものを……。

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