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不幸のすべて・第二十二話「喜び・怒り・憂いの欲」

 戦後、わが国の民は諸外国によって劣等感を植え付けられて来ました。しかし、諸外国に比べて劣等感を持つ必要は微塵もありません。わが国を蔑み、立派なことを申される方もいらっしゃいますが、言う割には出来ていません。むしろ劣等感を押し付けられたわが国の方が、今では諸外国から羨望の眼差しを受けるほど、数々の成果を上げています。ですが、多くの人々は外国へ行くこともなく実情を知らないため、未だに押し付けられた劣等感を持ち続けているのです。
 劣等感を持つと言うことは、それなりの弊害を持つと言うことです。劣等感が激しくなると、すべてが嫌になり、自暴自棄になってしまうことがあります。自暴自棄な人は自分に甘くなりがちで、甘やかすことにより心が弱くなってしまうのです。

 不幸と言う生き物は心の弱い人が大好きです。
 しかも、心の弱い人は、不幸を受け入れやすいのです。不幸はありとあらゆる人の弱みにつけ込みます。そして、まるで流行病はやりやまいのように、次から次へと周りの人に感染して行きます。不幸はそうやって世の中に広がって行くのです。

 心の弱い人は欲望を我慢することが出来ません。
 不幸は人の欲望を刺激して、広がって行こうとします。欲望には四欲しよく七情しちじょうと呼ばれる種類があります。心が弱い人は四欲七情を欲しいままにするのです。そうなると元気が損なわれ、そこに不幸が入り込み、あるいは不幸を呼び出します。ですので、この欲と心の中で戦って征服しなければなりません。

 手順について播磨陰陽師の伝承には、

——内欲ないよくの内、まず四欲七情をふくしたる後、三欲を征すべし。

 とあります。

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