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祈りのカタログ・第二話「神社で祈る」

 神社で祈るのはお正月が多いと思います。多くの人々が神社や寺へ詣でて祈る……ちょっと待ってください。正しい祈り方をしている方を初詣で見たことはありませんよ。もちろん、初詣以外でも、ほとんど見たことはありません。
 正しい神社での祈りとはどのようなものなのでしょうか?
 たとえば、神社へ行って、お賽銭をぽーんと投げて、手をパンパンと叩いて、口の中でゴニョゴニョと、
「えぇと、私の願いはこれこれで……どうか神さま、よろしくお願い致します」
 とやる人がいます。これはあくまでも願いであって、祈っていることにはなりません。個人的な願いを、神に一方的に言い放っても、叶うことすらありません。
 祈りと願いは基本的に違うものです。そして、祈るには、それ相応の手順や決まりがあります。
 まず、基本はあくまでも対応可能な神社へ行き、担当の部署の神に祈ることです。安産の神を祀る神社へ行っても、縁結びの祈りは叶いません。
 神社は役所のような構造なので、担当の神や、祈りを伝える担当の職員に頼まないと、スムーズに伝わらないのです。へたをすると、たらいまわしにされて、徒労に終わることもあります。
 神社の担当の職員とは、神職のことでは、ありません。神社の人間界の担当は、神職と呼ばれる人々です。神主さんとも呼ばれたり、禰宜ねぎさんと呼ばれることもあります。神主さんと、禰宜さんと、それからはふりと呼ばれる職業の人を総称して神職と呼んでいます。
 最近では、祝と言う職業の人を聞きません。この祝とは、祭祀を司る役職のことです。
 古くは、禰宜と呼ぶのが今の神職のことで、神主と言うのは、神を一時的に宿す人のことをさしていました。神を降ろして、その力を人に示す役目です。
 これらと同じような構造で、神の世界の方にも、やはり、いくつかの役職があり、各々の仕事が決まっています。

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