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播磨陰陽師の独り言・第百三十九話「病は気から」
病気になると、
「病は気から」
とか知らない人に言われてしまいます。
この言葉を、
「病は気持ちによって生まれる」
と、勝手な解釈をして忠告してくれる人も多いようです。そのあげくに、まるで何だか気持ちの持ちようが悪いから病気になったように、一部の人たちに非難されてしまいます。
ですが、この言葉は、
「病は気持ちの持ちようで良くも悪くもなる」
と言う意味なのです。
私は昔、ゲーム開発と言うかなりブラックな業界で働いていた関係から、時々、健康を害して入院することがあります。若い頃の無理が祟って、今でも、目はあまり見えていませんし、内臓も健康とは言えません。
一度、入院すると、退院した後に頭を丸めることがあります。髪の毛に、病の頃や病の原因となった出来事の記憶が残っているからです。その記憶を捨てて心をリセットするためにも髪の毛を切る必要があるのです。それと、多くの場合、引っ越すか仕事そのものを変えます。引っ越すのは気分を変えるためです。仕事を変えるのは、仕事のやり方に病の原因が含まれるからです。
もう、20年くらい前から、就職と言うものには無関係な暮らしをしています。誰かに雇われたり、誰かの下請け仕事をしようなど思ったこともありません。ですので、今は好き勝手に仕事を作り出して、気楽に生きています。生きているから、仕事もして……が必要となるのですが……多くの人々は仕事に縛られるために生きているような雰囲気を醸し出します。それは、誤った生き方だと思います。誤った生き方をするので、人生は苦痛に満ちており、やがて苦しみの中でうごめいて人生そのものを終えるのです。
時々、病院の患者さんたちを見ていると、そんなことを考えてしまいます。入院していた時も、真夜中に点滴を外して病院から逃げ出そうとする患者さんが看護師さんともめていました。
「ここにいると、いつまで経っても病気が治らん」
と叫んでいましたが、病気が治らないのは病院のせいではありません。
先月も同じようなことを言って、無理やり病院を変えさせた患者さんがいたそうです。その人は、自分が希望した移送先の病院で足を切られてしまいました。
移送先の病院を訴えているそうですが、元の病院で大人しくさえしていたら足を切られずに済んだと思うのです。悪い選択を行う人の人生は、常に悪い方向へ向かうものだと言うことで……。
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