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播磨陰陽師の独り言・第三百六十五話「ビデオのこと」

 最近、YouTubeで映像を見ていると、
「では、VTRスタート」
 とか言ってはじまる作品がありました。VTRは〈ビデオテープレコーダー〉の略なので、
——オンデマンド時代にビデオテープはないだろう。
 と思いました。
 昔のビデオ作品は画面が小さくて、解像度も低かったですが、それなりに綺麗だったと思います。もしかするとブラウン管の表面の美しさを勘違いしているのかも知れません。
 ビデオデッキが発売された頃、まだテープは高くって、なかなか買えませんでした。社会人になり働くようになってからは、すでにテープは安売りしていて、たくさん買い込んでは映画を録画していました。
 当時はビデオレンタルも、あっと言う間に普及して、あちこちにショップが出来ました。今のコンビニくらいの勢いで、お店が出来ていたんしゃないのかなぁと思います。
 ショップと言えば、大阪のJR天満駅のすぐ近くに、勝手に録画した作品をレンタルしている店がありました。もちろん違法です。中には、ウルトラシリーズの前夜祭までありました。前夜祭と言うのは特番で、ウルトラQの開始を記念して、これから登場する怪獣などを紹介する番組です。当時、見た人は少なかったと思います。ビデオは出ていませんので、当時、録画した作品をコピーした物だと思います。当時はテープが高額でしたので、
——よく、こんなものを残せたものだ。
 と感心していました。
 残念なことに、しばらくして、その店は火事でなくなりました。
 この店を利用していたのはゲームの開発をしていたからです。企画書を書く時、手に入る限りの関連資料を読み、関係した映画を何本も見て参考にしていました。
 さて、録画した映画のテープは、何度も引っ越すたびに、少しずつ捨てました。ひとつのテープは小さいとは言え、何本もあると嵩張ります。わが家の荷物の中で、幅を取るのはテープと本でした。最初に片付けたのはテープです。ベータマックス・VHS・8ミリビデオ・デジタルテープなど種類は様々ありました。デジタルはカメラ撮りが多いので、今でも保管しています。あとのは、しかたがないので捨てました。デッキも壊れかけていたので、どうしようもありません。あとはパソコンに映像データを取り込んだら、デジタルテープも捨てようと思っています。

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