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不幸のすべて・第二十七話「厄の根」

 前回は多くの人の自分の幸福と言う概念が、

——他人が不幸であること。

 と言うイメージに錯覚しやすい傾向があることを書きました。これは強く意識もしないし、また、あえて言葉にすることもありません。しかし、心の奥では、

——周りの人々が不幸になるのを喜ぶ傾向を持つ。

 と言う意味です。
 それは、どう言うことでしょうか?
 それには様々な理由がありますが、簡単に言うと、

——人は、比較対照でしか幸・不幸を判断することが出来ない。

 と言うことです。
 多くの人々の物事に対する価値観は、比較対照でのみ判断されます。これは最も簡単な方法ですので、誰しも何も考えずに行うことが出来ます。最も簡単な判断方法と言うことは、

——最も幼く未成熟な感覚に基づく判断である。

 と言うことを意味しています。つまり、心が成長していないのです。
 体は心とは無関係にほぼ自動的に成長します。しかし、心はある程度にしか自動的に成長しません。それ以上、心を成長させ、そして、さらななる進化を行うためには心の修行が必要です。そして、この心の修行が平穏な日々を作り出します。
 播磨陰陽師の伝承に、

——心が平穏である者は常に不幸を避けることが出来る。

 とあります。

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