播磨陰陽師の独り言・第488話「怪談を聞く日々」
最近、よくYouTubeで怪談話を聞いています……と言うのは、毎週月水金に病院へ行って長時間拘束されているからです。手足を動かせないままベッドの上にいるので、イヤフォンだけつけてYouTubeの音声を聴いています。
様々なものを聴きました。朗読はもちろんのこと、ラジオドラマのようなものも、かなり聴きました。映像を見ることが出来るさないので、音声だけを楽しめるものが中心になります。
ここ半年くらいは怪談を聴くことが多くなりました。大半は2ちゃんねるの投稿を音声合成で流しているだけのものです。『ゆっくり茶番劇』などが多いです。
感想としては、
——本当に体験したと言っている割には、案外、作り話が多いな。
と言った感じですか。
なぜ作り話だと思うのかと申しますと、内容の中に恐怖の感情が読み取れないからです。もちろん、怖い話に恐怖を感じない著者もいることでしょう。しかし、怖い体験と自分で言っているのに、文章からは恐怖の感情を読み取ることが出来ないのです。
ホラー系のドッキリ映像を見ている時も、本当に怖がっているのか、それとも演技しているだけなのかは、すぐに分かります。本当に怖がっている映像からは恐怖の臭いがするのです。
恐怖の臭い?
臭いと言うか、正確に表現すると〈ある種の波動〉と言うべきかも知れません。とにかく恐怖を感じるのです。これを表現すると、ぞわぞわした感じです。耳の後ろを血が上がって行くような気がします、そして鼻から額にかけて、何だか嫌な臭いを嗅いだような感覚が生じます。
しかし、怖がっているだけな演技からは何も感じません。普通のホラー映画を観ても、何も感じないのです。
その、恐怖の臭いがするかどうかが判断の基準となります。そこから内容の細かな部分をチェックして、矛盾の有無を調べます。すると、どう考えても作り話であるものが分かるのです。
もちろん、考えなくても作り話でしかないものもあります。たとえば体験者が死んでしまう種類のお話。誰が書き残したと言うのでしょうね? 実際、そんな話も多いのですから……。
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