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播磨陰陽師の独り言・第521話「映像の時代」
二十世紀は映像の時代と言われました。映画が発明されて、多くの歴史的な出来事が記録されるようになりました。
最初の頃は光学フィルムが使われていました。秒間は16コマ。しかし、その後の再生装置は24コマなので、再生するとカクカク動いて見えました。
よくチャップリンの映画がぎこちない動きをしていますが、ある時、NHK技研が秒間16コマの再生装置を開発したことがありました。この装置で再生すると、チャップリンは普通に動いているように見えます。テレビでその映像を公開したところ、多くの視聴者から、
「チャップリンはこんな動きではない」
と、たくさんのクレームがあったそうです。
いやいや、この映像の方が正解ですから。人の思い込みと言うのは厄介なものですね。
時代が進むと、映画用フィルムは35ミリサイズのものから70ミリに変化しました。それと同時に16ミリと、さらにその半分の8ミリのものが家庭用に発明されました。
その後、光学フィルムと並行して磁気テープが発明されました。ビデオの時代です。ビデオは秒間約30コマですので、フィルムよりも少しリアルな感じがしました。24コマと30コマの違いは、目で見て分かるものでした。
やがて何種類かのビデオテープの規格が発売され、秒間24コマのビデオが発明されました。これで光学フィルムのような映像をビデオカメラでも撮影することが出来るようになりました。
その後、スマートフォンの登場です。誰もがビデオカメラ……しかもハイビジョンの小型カメラを持つ時代となり、あちこちで様々な出来事が撮影されるようになりました。
それがです。二十一世紀がはじまって生成AIが発明され、映像の時代が終わりをむかえました。と言うのは、偽物の映像を簡単に造れるようになったからです。今までは、映像は嘘をつかないものでした。しかし、これからは嘘の映像が巷に溢れ、本物と見分けがつかない時代がやって来たのです。
やがて、生成AIだけで造られた映画が完成する日が来るかも知れません。それから先の世界では、たとえばヒッチコック監督の新作が生成AIで造られる時代が来るでしょう。そして、何とか監督風の、あり得ないですがスピルバーグ監督風のモノクロ・ゴジラ映画が出来ることでしょう。映像作家はカメラではなく、生成AIに話し掛けるのが仕事になる時代が来る……と、制作が楽で良いなぁ。
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