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播磨陰陽師の独り言・第四十八話「良く眠る日々」

 最近、よく眠ります。
 病院にいて退屈だからなのか……それとも、病気を治すために自然に眠くなるのかは分かりません。とてもよく眠るのです。
 眠ると夢を見ます。残念なことにあまりに多くの夢を見ているのと、夢の世界の日常の風景を見ているだけなので、夢の詳細を覚えていません。
 時々、
——夢を見ない。
 と、おっしゃる方もおられるようですが、そんな人であっても夢は必ず見ています。ただ覚えていないので、夢など見ないと思うでけです。
 夢を見るのは脳の機能のひとつです。もし、本当に夢を見ていないとしたら、脳に問題があることになります。しかし、人は年齢が高くなればなるほど夢を見なくなります。そして、最後は、まったく夢を見なくなり、やがて、永遠に夢の世界に閉じ込められてしまうのです。
——死んだら天国へ行く。
 と思っている人が多いようです。しかし、〈天国〉は、キリスト教の信者になった人が行くと信じられている場所です。一般の人が行ける筈もありません。
 子供だましや気休めに、
——死んだ人は天国へ行く。
 と教えるのかも知れません。そのような曖昧なことばかり教えていては、いったい何を信じるべきか判断出来ない大人になります。
 播磨陰陽道では、いわゆる〈あの世〉の世界は、
——夢の世界の奥にある。
 と伝えています。すべての霊的な世界は夢の世界とつながっているのです。もちろん、幻想や、妄想の世界も、夢の世界につながっています。
 おおよそ、人の考えが及ぶ世界は、すべて夢の世界の中にあり、その先に人の考えがおよばない世界として、神々や霊たちの世界があるのです。それらの世界は、人間の心が持つ、ある種の力によって、現実の世界に影響を与えるのですが……。

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