播磨陰陽師の独り言・第三百七十八話「レトロ自販機」
ちまたでは、昭和レトロな自販が流行っているらしい……と言うのはニュースで見たお話です。蕎麦やラーメンと言った麺類の自販機が特集されていました。中にはトーストの自販機までありました。こんがりと焼かれたトーストが自販機から出て来るのですから、不思議な感じもします。
私の子供の頃には、十勝平野のドライブインにも蕎麦の自販機がありました。確か〈新得蕎麦〉と看板が出ていました。ここが他の自販機と違っていたのは、キジの肉が入っていたことです。キジ……鳥のキジです。柔らかくでタンパクで、キジはとても美味しい肉です。そして蕎麦に合います。そのキジ蕎麦が、自販機から出て来たのです。十勝の蕎麦は名物です。ただでさえ美味い蕎麦にキジ肉が乗っていて、何とも言えない深い味わいでした。
昭和の時代は、妙な自販機があったようです。ハンバーガーの自販機も食べたことがあります。カレーの自販機も食べたことがあります。昭和の終わりくらいまでは、まだ、あちこちにあったような気がします。オリエンタルカレーでした。このカレーが好きで、オリジナルのスプーンも持っています。味は変わりませんが、美味しい気がします。
宝塚遊園地が今のようなオシャレな雰囲気ニリニューアルされる前、自販機とエレメカと、当時、すでに古くなったモノクロのビデオゲーム機などが並べられていました。宝物遊園と言えども、まるで、地方のドライブインの雰囲気がありました。
昭和なゲームセンターと言えばエレメカ。これはビデオゲームではなく、実際の機械で遊ぶものです。クレーンゲームのようならものだと思ってください。文章では、エレメカは表現し辛いです。
ゲームの会社に入った頃、
——アーケードゲームの業界です。
と言われていたので、勝手に、
——エレメカも作れる。
と思っていました。
実際、仕事をしてみると、ビデオゲームばかりの開発でした……残念。
どちらかと言うとエレメカの方が好きです。
自販機の食べ物も、ハンバーガーよりもラーメンの方が好きです。子供の頃は給食にもラーメンが出ました。あの、少し縮れた麺に絡んだ汁の味が、何やら懐かしいです。
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