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不幸のすべて・第二十一話「バランスを取りながら」
前回の最後の部分に書いた祭文は、夢の世界、特に神に近い場所で通常の言葉として使われています。あの世界ではこの言葉のみですべての会話が進みます。わが国で古来より神の言葉とされているものはある種のイメージ言語なので、それに近い人々が使う言葉もこの要素を含んでいます。ただこの言葉を口で唱えながら心の中にイメージを浮かべそれを伝えあっているのです。
皆さんが神社でお参りする時もそうですね。拍手を打って心の中で願い事をつぶやきます。大きな声で願い事を叫ぶ人は見たことがありません。人の願いは心の中で作るものです。特にネガティブな気持ちのままで願い事をしては誰にも届きません。
また、人を呪う場合はネガティブな感情で行うと思っている人が多いです。しかし、これは間違いです。それでは、結局、呪いが自分に帰って来て、いらない不幸を作ってしまうだけです。
それが、
——人を呪わば、穴、ふたつ。
と言う諺の本当の意味です。
悔しいとか、憎しみのような感情を持ち続けている人は、自分の未来を不幸に導くのみで、無駄な人生を歩んでしまいます。しかも本人はそれに気づきません。そして、自分が不幸に落ちて行くこと自体が、その人の快楽になったりすることもあります。これはちょうど悪い物を食べ過ぎて病気になるのに似ています。一時の快楽に心をまかせ、結局、自分を崩壊に導くのです。多くの宗教家や霊能者たちはそのことを指摘しません。また、教えもしません。
それは、なぜでしょう?
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