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播磨陰陽師の独り言・第五十話「本日の収穫」

 毎晩、〈本日の収穫〉と思う文書ファイルに、その日の日付けを書いて、収穫のあった物事を記入しています。
 収穫のあった物事とは、たとえば、
――◯◯と言う本を読んだ。
 とか、
――◯◯の絵を描いた。
 と言った、その日に出来た物事のことです。
 毎日、書いていると、何かが出来あがって行くのを実感します。
 今日、出来なかった物事に焦点を当てるのではありません。出来た物事にだけ注目するのです。一日を振り返って反省したり、後悔したりすることは、誰にでもしばしばあります。しかし気づいたのです。反省したり後悔しても明日は良くならいことに……。
 収穫を書くようになってからは、
――明日は、こんなことを行なってみよう。
 とか、
――今日、出来なかったことに、また明日、トライしよう。
 と考えるようになりました。すると出来なかっ物事が、気付かない内に出来ていて〈本日の収穫〉の中に書き込まれているのです。
 実は〈後悔〉と呼ぶ行為は、過去の出来事をあれやこれや考えては、
――あぁでもない、こぅでもない。
 と、悔やんでしまう行為なのです。
 過去ばかり向いて考えているため、考え方そのものが未来に進むことはありません。
 過去を思い出すたびに、過去の思い出を、より悪い方向へと記憶の中で作り変えてしまいます。しかし記憶を作り変えている本人は、ほとんど無意識で行なっているのです。つまり記憶が変化していることに気付けないのです。そしてまた後悔を知らず知らずの内に繰り返してしまいます。
 たとえば、仕事で失敗した部下に反省文を書かせても意味はありません。処罰するなどもっての外です。そんなことをする暇があるなら、
――どう改善するのか?
 を考えさせて、
――何が、出来たのか?
 を、毎日、書いた方が、未来は良い方向に向かいます。
 あなたの今日の選択で、未来の出来事が変化するのです。選択次第で良くも悪くもなります。それなら、より良い選択を……。

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