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播磨陰陽師の独り言・第五十一話「ルビのこと」

 noteにようやくルビが付けられるようになって喜んでいます。やはり日本語にはルビが必要たと思います。ルビのないものは、日本語らしくないとも思っています。
 この〈ルビ〉と言う呼び名は外来語ではありません。新聞記事の〈ふりかな〉の活字サイズが、宝石の1ルビーと同じ大きさだったので、〈ルビ〉と呼ばれるようになったものです。もちろん、正式には〈振り仮名〉と呼ばれます。
 振り仮名は、元を正せば片仮名が変形したものです。最初、漢文を読むために、漢字の片側を記号にして振ったので、片仮名と呼ばれています。しかし、これは正式なものではなく、漢文の端に釘のようなものでこすってつけたのです。その前には〈一〉とか〈二〉とか返り点のようなものが作られました。日の光にかざすと読めるようになったので、今で言うとアンチョコみたいなものです。昔の人も漢文を読めないことが恥ずかしかったものと思います。それで発明したのです。その後、片仮名を発明して、より読みやすくなりました。
 やがて、片仮名から柔らかい文字〈平仮名〉が生まれると、それから随分と長い間、ルビ付きこそ日本語の表現として定着しました。
 しかし、残念なことに、その風習は戦後に入ってから急速に廃れました。その原因は、新聞にあったのです。なんと、ルビ打ち職人の給料が高いから、そこから削減したのです。
 その結果、ルビを付けなくても読みやすい記事が書かれるようになりました。しかし頭の良い人が書いた場合のことです。普通の記者さんの多くは、名文を書ける訳ではありません。そうやって、読むに堪えない文章が量産されてゆくのです。やがて、国語力の衰退がはじまりました。
 昔は、難しい漢字や表現は新聞で学んだものです。
「新聞を読まないと馬鹿になる」
 と言われた時代もありました。
 しかし、今はどうでしょう。ある新聞社は、何人もで書いた記事を適当に合成して印刷するそうです。私はそのことを聞いてビックリしましたが……。

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