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祈りのカタログ・第九話「良い妄想を引き寄せよう」
昔の人々は、
——明日、魔物がこの村に来てわれわれに厄をまき散らすのでは?
と不安に思ったことでしょう。明日の不安とはそう言うものです。
播磨陰陽道は宗教ではありません。ただの技法です。それも、とびっきり古代の技法であり、人がまだ、人らしく幸福に生きていた頃の技法なのです。
古代の世界は、明日のことを不安に思わない世界でした。なぜ、古代の人々が、明日のことを不安に思わなかったのかと言うと、明日と言う概念がなかったからではありません。
時間の概念は今とそれほど変わりません。むしろ、季節や温度の変化に、今よりもずっと敏感な世界でした。
「明日は必ず来る。そして、どこかの未来で、死も必ずやって来る」
と最初から、知っていたかのような雰囲気すらあります。その中にあって、無意味なことやネガティブなことを考えなかったのです。多くの不安は、体験した経験もないのに、ただの想像によって自分自身を苦しめて行くものです。
あなたの心の中に潜む、意味の分からない不安の正体は、ただの想像であり、現実ではありません。そのような不安は、得てして捉え所ないものです。むしろ想像するたびに少しづつ現実味をおびてきます。やがて、むりやり不幸を引き寄せてしまう種類の単なる妄想のひとつに過ぎません。
妄想を悪い方に引き寄せてしまえば、それはそれは怖ろしい未来がやって来ます。しかし、良い方向へ妄想すれば、あなたは幸せになれるのです。なのに、わざわざ不幸なことを妄想して、その妄想のままに存分に不幸になれるなんて、あなたは信じられないほどの力を発揮出来るのですねぇ。どうか、その信じられないほどの力を、幸せを引き寄せるために使ってください。
しかし、こう書くと、とたんに、
「幸せなんて、どう想像して良いのか、 分からない」
とか、
「不幸こそリアルであり、自分の幸せはありえない」
と、心の中で思ったりします。ですが、無理をして幸せな未来を想像する必要などありません。本当の、幸せに感じられることは、心のゆとりの中にあるのです。ちょっと新興宗教っぽくなって来て嫌ないやな文章ですねぇ……笑。
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