播磨陰陽師の独り言・第487話「くすばる」
門司港と言えばバナナの叩き売り。軽快なリズムを耳にするだけで、何だか心がウキウキします。しかし、残念なことに……大好きなバナナのは体に合わなくなって医者に禁止されてしまいました。果物の多くはそうですが、カリウムが多いのがその理由です。
さて、今、私が住んでいる門司港は、その昔、楠原と呼ばれていました。門司港は楠原郷に属していて、古い地名が楠原だったのです。
門司港が大きくなって門司市になる時、楠原賛成派と門司賛成派との間で投票が行われました。昔はまだ市町村合併されていなかったので、北九州市門司区ではなく門司市でした。
結局、門司市になった訳ですが、もう少しで楠原市になっていたかも知れません。だから今でも地元の雨乞い踊りを〈楠原踊り〉と呼ぶのです。
さらに古い地名を探ると〈文字ヶ関〉とあります。この文字ヶ関が元々となって〈門司〉になった訳です。
資料を調べると、
——文字ヶ関と呼ばれたのは、あちこちに文字が書かれていたことから。
とありました。
文字?
何のことでしょうね?
この〈文字〉と言うのはペトログラフのことです。正式にはグラフではなく〈ペトログリフ〉と言います。門司在住の日本の研究者が世界的に有名になってしまい、彼が間違えて使っていた〈ペトログラフ〉の方が世界で通用するようになったと言う経緯があります。
厳密に言うと〈ペトログリフ〉は岩に刻まれた文字や絵を意味しています。一方、ペトログラフの方は洞窟などに描かれた絵を意味しています。
一説によると、ペトログラフは〈古代シュメール文字〉だと言います。シュメール人が遥かな海を渡って日本列島に辿り着き九州北部に定住して残したものだそうです。
古代シュメール人の痕跡は日本各地にあります。彼らは日本人の祖先ではありません。祖先のひとつとして混血したのは事実です。シュメール文明は今から6000年ほど前の文明です。この頃、わが国にはすでに縄文文化が花開いており、シュメール文明を取り込んだと考えがえるのが妥当だと思います。
ペトログラフの多くは信仰対象となる神の名だと言いますが、中には〈ゴミ捨て場〉のような実用的なものもあるそうですが……。
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