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不幸のすべて・第十話「強い感情」
強い感情が欲望を発生させ、その欲望が人を行動させる起爆剤のような役割を持ちますと、前回の最後に書きました。では、強い感情とは、どのようなものでしょう?
笑いは強い感情ですか?
怒りは強い感情なのでしょうか?
基本的な強い感情とは、自らの意識で制御することが困難なものを意味します。コントロール出来ない人の感情がそれにあたります。
これについては、こう考えてください。たとえば、釣り竿の先に錘が付いていたと思ってください。釣り竿を振る人はコントロール出来ています。しかし、振り過ぎて釣り竿を止められなくなる時、コントロール出来ない状態が生まれます。感情もこれと同じなのです。沸き起こった強い感情に振り回されることが、感情をコントロール出来ない状態を作ります。
また、コントロール出来ていても、突然、怒りでもしたら出来なくなるかも知れません。愛情がそれにあたる人もいるかも知れません。いづれにしても強い感情に心が振り回される傾向を持つ人は、怒りでも、愛情でも、同じように空回りします。
端から見ていると、子供にそのように接し方をすべきではないのに、
——自分が嫌われたくない。
と思いのみで甘やかす大人がいます。
そんな人の子供は、結局、大人になるに従って駄目な大人を嫌うようになります。あるいは、親だけに頼る駄目な大人に成長するかも知れません。
それは、
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