怪しい世界の住人〈七福神〉第三話「神系のグループのこと」
❷ 福禄寿について
福禄寿は支那の仙人で宋の嘉裕《かゆう》と呼ばれる導士でした。一般に天南星の化身と伝わります。福と録と寿命をかねためでたい神で、短身長頭多鬚にして、杖に経巻を結び、鶴をともなっているところが絵に描かれています。これは良い人相を結んで三徳兼備の相を描いたものです。
また、福禄寿は中国・山東省にある泰山の神で泰山府君の年老いた姿であるとも言われています。
泰山府君はやはり陰陽道の神で、
——人の命はその魂と共に泰山府君が司る。
と言われています。
泰山府君は、陰陽道では、ある種の死神のような神です。閻魔大王と同一視される神でもあります。
その神が福の神として入っているのには理由があります。
江戸時代に、
——門松は冥土の旅の一里塚。めでたくもあり、めでたくもなし。
と言う川柳があるように長寿はめでたいことですが、死へ向かって行くことでもあります。福の神の中にこの寿命の神がいることで、
——福を望むとは言え、常に物事には限りあるを知るべし。
と戒めているのです。
❸ 布袋尊について
布袋尊は支那の梁の頃の三聖の名で布袋和尚と称しました。弥勒の化身であると伝わっています。布袋尊は堪忍と和合を教える神だそうです。
布袋尊は、時代が末期になると生まれ変わって現れたようで、中国の歴史の中に四回ほど登場します。
また、
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