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祈りのカタログ・第十話「祈りの言葉を」

 ある物事を、人が無意識の中で判断したと仮定します。その人が、悪い行動が癖になっているとしたら、有無を言わさず悪い方向へと考えを向けてしまうのです。この時、良い方向へと行動するには良い記憶が足りな過ぎます。つまり、良い方向へと判断してから、実際の行動に移すまでの記憶の中にある基本情報が足りないのです。
 誰もがない袖は振れません。選ぶとしたら有る袖を選ぶのです。無意識が判断する時、どうしたら良いのか分からない方向を選ぶのではなく、たとえ悪い習慣であっても、普段から考えている物事の方を安直に選んでしまうのです。だから、考えなしに行動すると大変なことになります。何とかしないと、どこまで行っても最悪な目にばかり出会います。
 何とかするのには、とりあえず考えそのものを停止する方法を使います。と言っても、色々なことを考え過ぎていて、それがどうなっているのかすら自分で分からない状態です。容易に他のことを考えることなど、普通は、出来ません。その時、その時ですよ、祈りの言葉を心の中で唱えるのです。別にこの技法は宗教ではありません。
「普段はなにもしないのに、この時ばかり神仏にすがれば何とかなる」
 とか、あるいは、
「神仏にお願いして何とかしてもらう」
 と言う意味ではありません。
 困った時にのみ神頼みされても、頼まれた方ももてあましますし。第一、神頼みするには、適切な神を呼ぶための、それなりの儀式も必要なのです。それらの説明が面倒なのと、簡単に説明出来る人が少ないので、多くの怪しげな霊能力者たちは、
「とりあえず祈れば何とでもなります」
 と言った言葉でお茶を濁します。しかし、物事は、きっちりと手順を踏まえて説明する必要があると思うのです。そこで、あなたが眠る時、悩んだり苦しんだりしていたら、

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