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播磨陰陽師の独り言・第二百四十七話「坊主刈りのこと」
謝罪をする時、頭を丸め、坊主刈りにして気持ちを表すことがあります。心から謝る時、頭を丸めることで、なんとなく誰もが納得することでしょう。
では、なぜ、坊主刈りにして謝罪するのでしょうか?
これには諸説あります。
昔は死んだ人々は坊主刈りにされて埋葬されていました。死んだ人は仏になるから、仏は坊主頭と言うのが理由でした。死人の頭を丸める風習は明治の頃に廃れたようです。まだやっている地方もあるかも知れませんが、最近は聞いたことはありません。
昔は、丸刈りにした頭に〈額烏帽子〉と呼ばれる三角の紙をつけていました。この紙は名の通り烏帽子そのものです。昔の幽霊は三角の紙をつけて化けて出ていました。死んだ人は仏になります。しかし、神にもなるので額に烏帽子をつけていたのです。
頭を丸める風習は、仏教伝来からはじまったような雰囲気もあります。ですが、古事記の中に、すでに記載があります。
素戔嗚の尊が天照大御神に謝る時、髭も髪の毛も、手足の爪も抜いて謝罪しました。この出来事が元となって、謝罪する時は、頭を丸めるのです。
わが国ではこのように謝罪しますが、隣国では意味が変わります。頭を丸めて抗議するよつです。まず、頭を坊主にして、その後、抗議します。しかし、抗議の対象となるわが国の人々にとっては、単に謝っているようにしか見えません。ところ変われば、意味も変わります。そのことを理解しないと、何もかも空回りしてしまうことになりますね。
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